違うようで実は同じ?目立つあいまい公約 総選挙2012 第1回
痛みを伴う政策には いっさい触れず
一方、消費税については、第三極を中心とした増税反対の政党と、3党合意で15年10月までに消費税率を2段階で10%まで引き上げることを決めた民主、自民、公明とで立場が明確に分かれる。
民主党は「税率引き上げによる増収分は、すべて社会保障の財源に充て、同時に確実に低所得者対策を行う」とし、自民党は「消費税(当面10%)を含む行財政抜本改革の一層の推進により、持続可能で安定した財政を確立し、財政の配分機能を回復する」「消費税収は社会保障以外には使わない」と記載している。
これに対し、みんなの党は「増税の前にやるべきことがある。消費増税を凍結し、まずは国会議員や官僚が身を切る」、日本未来の党も「増税前に税金の無駄遣い排除」と増税ありきに反対している。
仮に消費税を10%に引き上げても、民間予測と比べて甘い政府見通しでも、国・地方のプライマリーバランスには2・8%程度の赤字が残り、20年代のGDP比公債残高は200%を超える(12年8月公表の内閣府試算、平均の名目成長率1%台半ばの慎重シナリオ)。
消費税率10%だけでは右肩上がりで増え続ける将来の社会保障費を賄えないことは政治家も薄々わかっているはずなのだが、自民党も「当面10%」とするだけで、その先の消費増税や財政再建の道筋について、どの政党も公約で触れようとしない。
有権者の痛みを伴う政策にはいっさい触れずに、任期途中に増税を言い出し、公約違反と指弾される。民主党政権が犯した過ちの二の舞いではなかろうか。
民主党は11月に全国11カ所で政策進捗報告会を開いた。09年の政権交代時に民主党に期待した政策のトップは「無駄な予算の見直し、改善」(67.7%)だったが、現在、有権者が不満を感じる政策のトップも「無駄な予算の見直し、改善」(51.9%)。この点を取ってみても、あれだけ期待した政権交代に対する深い失望感がうかがえる。