違うようで実は同じ?目立つあいまい公約

総選挙2012 第1回

金融政策が俎上に載る異例の事態に

総選挙に向けた前半戦の焦点となったのは、日本銀行の金融政策だった。総選挙で金融政策が争点になるのは極めて異例のことだ。

舌戦の口火を切ったのは、自民党の安倍総裁だった。主張の骨子は、(1)2~3%のインフレ目標の設定(2)日銀に建設国債購入を求める(3)日銀法改正の3点だ。

「思い切った経済政策を前に進めていく。日本銀行と協調して、大胆な、大胆な金融緩和を必ず実行していきます。必要だったら日銀法だって改正し、必要なことをすべてやっていく」(17日、熊本県の街頭演説)

「インフレターゲットは2%から3%。同時に建設国債を買いオペで日本銀行が買っていく」(21日の政権公約発表の席上)

「日本の中央銀行は実体経済に責任を負っていないという問題点がある。もし(日銀が)協調しないというなら、(日銀法に)インフレターゲットを定めて説明責任を負う。そして、雇用についても責任を負う、という書き方にするべきだ」(27日に都内で開かれた講演)

微妙に中味を修正しながらも、安倍総裁の発言は次第にヒートアップ。これに対し、日本銀行の白川方明総裁は21日の政策決定後の記者会見で「一般論として、中央銀行による財政ファイナンス、国債の引き受けは、IMFも中央銀行に関する助言を行う際に、行ってはならない項目リストの最上位に掲げるようなもの」と反発、高まる日銀批判の防戦に努めた。

日本経団連の米倉弘昌会長も「市場から財政ファイナンスと受け止められるような金融政策は避けるべき。財政規律を損ない、国債の信用も損なわれる懸念が非常に大きい」と日銀を援護射撃するが、安倍総裁は「建設国債の直接引き受けと発言したことは一度もない」と反論する始末。国防軍の創設や日銀法改正など、安倍総裁は過激な方へ自らを追い込んでいるかのように見える。

来年4月に白川日銀総裁は任期満了を迎える。仮に、安倍政権誕生となった場合、緩和に積極的な総裁に首をすげ替え、日銀の建設国債引き受けのような奇策を連発することも不可能ではない。これで本当に「経済を取り戻す」ことができるのか、不安が残る。

総選挙の主な争点を見ると、エネルギー政策をめぐっては、原子力発電所をゼロにすることに慎重な言い回しの自民党、維新の会と、民主党を含めたそれ以外の政党の政策が一見大きく違っているように見える。

民主党は「2030年代に原発稼働ゼロを可能に。原発の新増設は行わない」と書き、中小政党は「電力自由化による原発ゼロ」(みんなの党)、「卒原発」(日本未来の党)と、はっきりした物言いが目立つ。自民党と連携を組む公明党も、原発政策については「原発の新規着工を認めず、可能なかぎり速やかに原発ゼロを目指す」としている。

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