違うようで実は同じ?目立つあいまい公約 総選挙2012 第1回

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違うようで同じ? 社会保障は前回より後退

これに対し、自民党は「原発の再稼働の可否については、順次判断し、すべての原発について3年以内の結論を目指す」「遅くとも10年以内には将来にわたって持続可能な電源構成のベストミックスを確立する」とあくまで慎重な書きぶりだ。29日に公約を発表した維新の会は「先進国をリードする脱原発依存体制」としている。しかし、脱原発の道筋はあいまいで、稼働中の原発を少しずつフェードアウトしていく点で似ている。

TPPも然り。「聖域なき関税撤廃を前提にするかぎり、交渉参加に反対」(自民党)、「政府が判断する」(民主党)と表現は違いこそすれ、「農業団体を敵に回さず、自由化も追求する点では同じ」(関係者)という。

また、前回09年の総選挙で大きな争点の一つになった年金などの社会保障。今回各党のマニフェストの記述は「公的年金制度の一元化、最低保障年金の創設を中心とする民主党の年金制度改革案を、3党合意に沿って、社会保障制度改革国民会議の議論を経たうえで、実現を目指す」(民主党)、「現行制度を基本に、被用者年金の一元化、受給資格要件の緩和、年金受給時期選択の弾力化など必要な見直しを行う」(自民党)程度にとどまり、争点としての位置づけは明らかに後退している。

政権交代のたびに制度がコロコロ変わらない、という意味において、年金が争点にならないというのはある意味健全なことだ。だが、民主党は政権に就いていた3年間でも実現できなかった新しい年金制度の創設をマニフェストに残しており、依然旗を降ろしていない。

民主、自民、公明の3党で合意した税と社会保障の一体改革については、11月30日に社会保障制度改革国民会議が発足。来年8月までに結論を出すことにしているが、国民会議の委員に入れなかった日本医師会などからは「排除の論理が働いた」「もっと早くから議論を始めてほしかった」などと不満もくすぶる。国民会議でどこまで議論が深まるのか、未知数だ。

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