――エジプトの方とお仕事をされた方から、木曜の打ち合わせで「来週中に企画書を提出します」と言ったら、翌週の火曜日の朝に「まだ提出されてこないのですが」と催促されたという話を聞きました。そういう時間の感覚はどうでしょうか?
モスタファさん:今はとても競争が厳しい時代です。エジプトの長年の歴史から培われてきた文化として「時間をただやり過ごすこともできるが、ロボットのようにただ働くのは嫌だ。人から急かされて動くのではなく、自分たちからアイデアを出して積極的に動く」ということが言えると思います。
もちろん「来週中」といえば1週間かけることもできますが、それでは競争に負けるでしょう。
ただ正直なところ、時間を守らない人もいることは確かです。ミーティングなどに遅れて来ることも多いですし、逆に早く来すぎる時もあります。
今までの話でお分かり頂けるように、エジプトは全体的によく言えば「柔軟」です。ただ、エジプトビジネスマンの多くは海外経験がありますから、時間を守らないと損をすることを知っています。
私も日本に来て、日本人の時間感覚はすばらしいと思うので、日本人の時間感覚に合わせて、待ち合わせの10分前には来て外で時間になるまで待っているようにしています。そのように、海外での経験からいろんな文化に慣れている人が多いです。
それとともに、エジプト人は「エジプトの文化」を大切にして、昔からの規律を守ります。たとえば、家の事情でかならず夕方17時には家に帰らなければいけない女性がいたとしたら、その時間に間に合うように快く帰してあげます。
おカネのことだけを考えるのではなく、1人ひとりの事情を理解して柔軟に対応してあげることがエジプトでは必要です。
ジョークを言うのはナイルの習慣
――ビジネスを進める際に交渉をしようとしたら、どういう進め方がいいでしょうか?
モスタファさん:エジプトでは相手が公的な機関か、一般企業かによって対応が異なります。公的な機関では、すべての責任はトップにあり、トップはどんな小さなことでも知っていなくてはいけないので、情報はすべてトップに集まり、そして指示はトップから下に降ります。
ですので、アプローチはトップにしたほうがいいでしょう。でも、一般企業では担当者から話していっていいと思います。
――エジプトの方にお会いするととても楽しいジョークを話される方が多いのですが、エジプトの方はジョークがお好きなのでしょうか?
モスタファさん:はい、エジプト人はとてもジョークが好きです。3カ月前にある国際機関がFunny Jokeを言う国の調査をしました。「ジョークを好きな国はどこ?」とアンケートを取った結果、エジプトが1位だったそうです。
なぜなら、2011年はあれだけ大変なことがたくさんあったのに、そんな時にもジョークを言っているからだそうです。
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