シンドラー製エレベーター事故の余波 「安全性」で攻めるフジテック

拡大
縮小

国内と中国への注力で今期業績上振れ

2つの分野への注力の結果、フジテックの業績は堅調に推移している。今2013年3月期については、会社側では売上高1150億円(前期比9.5%増)、営業利益75億円(同39.8%増)とする期初計画を据え置いたまま。ただ、今上期(12年4~9月期)の業績が期初計画を大きく上回ったこともあり、通期でも業績が期初計画より上振れする可能性が高いと、東洋経済では見ている。

フジテックの主力エレベーター「エクシオール」

今上期は、売上高537億円(前年同期比10.3%増)、営業利益36億円(同74.0%増)と大幅増益を達成。期初計画の売上高530億円、営業利益23億円から、それぞれ7億円、13億円上振れた。売上高の4割以上を占める日本で更新・メンテが伸び採算が向上したこと、日本に次ぐ売上規模にある東アジア(中国・香港・韓国・台湾)のうち柱の中国で新設が大きく伸びたこと、北米で新設、更新・メンテとも採算が改善したことが要因だ。

こうした傾向は、下期(12年10月~13年3月期)も大きく変わることはなさそうだ。

中国は懸念材料も

懸念材料は、日中関係悪化と景気減速の影響が心配される中国の動向。内山高一社長は、「今期に関しては受注がほぼ確定しており、影響はなさそう。品質・価格のバランス、安心・安全性を武器に当社は中国で新設のシェアを伸ばしている。中国市場は裾野が広く、特定のお客さんとのつながりもあるので、今後もなるべく悪影響を受けないように努めたい」と語る。

新設がまだまだ見込める中国市場での行方が、フジテックの業績拡大のカギを握っている。

柿沼 茂喜 東洋経済 記者

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かきぬま しげき / Shigeki Kakinuma

入社以来、一貫して記者として食品・外食、金融・証券、電力・ガス・石油、流通、精密機器、総合電機、造船・重機などの業界を担当。この間、『週刊東洋経済』『会社四季報』『金融ビジネス』の各副編集長、『株式ウイークリー』編集長、編集局次長などを経て現職。

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