竹中平蔵(下)「リーダーは若者から生まれる」

批判に耐える力、健康、英語について

世界で活躍するには英語が不可欠だが、英語力を上げるにはどうすればいいのか。

これは、いかに貪欲にチャンスを活かすかに尽きる。若い人には、海外から人が来ることがあれば、英語に自信がなくても、必ず会えと言っている。一流の人から、英会話の授業を受けられると思えばいい。そして、英語の授業を受けるときは、いちばん前に座って、いちばん最初に質問したらいい。結局、攻めの精神が大切だ。

最近、英『エコノミスト』誌が出した『2050年の日本』の中に、2つの重要なメッセージが記されている。

1つ目は、今後世界が、「シュンペタリアン競争の時代に入る」ということだ。言い換えれば、世界はイノベーションの競争に突入する。

2つ目は、グローバリゼーションがどこまでも進み、英語は国際語の王座に君臨し続けるということだ。つまり、今後の世界と日本は、「イノベーション」と「英語」の戦いになる。それを自覚しておいたほうがいい。

これからイノベーションの時代に入るということは、人の時代になるということだ。その意味で、若い人にはぜひイノベーションを起こす役割を担ってもらいたい。そういう思いを伝えるのが、私たちの世代の重要な仕事だと思っている。私は今後、日本が出遅れてしまった「英語」と「イノベーション」を強化するための、「グローバル教育」に力を入れていくつもりだ。

明治時代を振り返ると、国づくりにおいて、富国強兵が大事だということは誰もがわかっていた。そうしないと、日本は植民地になってしまうという危機感があった。では、富国強兵の基礎とは何か。「それは教育だ」と述べたのが福沢諭吉だった。そして教育者として、その思想を実践したことが、福沢諭吉の最大の貢献だと思う。

やはり、日本は大した国だ

人づくりに加えて、私がやりたいのは、過去4半世紀の検証だ。再来年でバブル崩壊から25年が経つ。株価が最高値をつけたのが、1989年の12月なので、2014年で四半世紀が過ぎたことになる。

この過去四半世紀を、私は「ロストクオーター(失われた四半世紀)」とは思わない。むしろ、「ミックストクオーター(入り交じった四半世紀)」だと思う。

確かに失われたものはたくさんある。しかし、この25年間に、デジタルライフがすさまじく進んだ。東京は間違いなく以前よりよい都市になった。この25年間でも、よかった時代と、そうでない時代がある。そこをきちんと検証して、反省すべきところは何か、引き継ぐべきところは何か、を示したい。

こうした検証は今まではあまりなかったが、原発事故以降、そうした概念が広がってきた。私はこれを、政治や経済の分野でやりたい。たとえば、過去25年間、政治主導はどれだけ実現できたか。今は最悪の時期だと思うが、政治主導がうまくできた時期もあった。そうした検証を、歯に衣着せず徹底してやろうと思っている。

やはり、日本は大した国だ。日本の持っているソーシャル・キャピタルには驚くべきものがある。日本のように、当たり前のことが当たり前にできる国は珍しい。たとえば、信号がたくさん付いていて、信号が赤になったら車が止まるというのは、すごいことだ。

しかし、優れたソーシャル・キャピタルを持つがゆえに、何か1つの新しいことをやると、このソーシャル・キャピタルが全部崩れてしまうのではないか、と主張する人がいる。郵政民営化を実施しても、TPPを結んでも、それが崩れるわけがない。日本人の知恵から生まれたソーシャル・キャピタルはそんなにやわではない。そうした蓄積を大事にしながら、日本をよい方向に変えていく。そのための道筋を示していきたいと思う。

(撮影:梅谷秀司)

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