「介護」と言う言葉を生んだ発明魂 フットマーク、アイデアが湧き出す仕組み
製品開発においては、商品が使用される現場での徹底的な観察とヒアリングが求められている。水泳教育の現場、介護の現場、スポーツ科学の研究者、アスリートの実感など。
磯部氏は、「どんな商品が売れるかではなく、お客さまが何を必要としているか、何を悩んでいるかを謙虚に考える」ことが重要だという。そのためには、「現場にしか、真実の瞬間はない」と語る。
コンスタントにユニークな新商品を世に出す同社は、取引のある素材メーカーからも一目置かれており、素材メーカーが新しい商品を開発すると、その特性を生かす使い道はないかと同社に相談に来るという。
福祉業界からも、フットマークならこんな商品を作ってくれるのではないかと、悩み事の相談が持ち込まれるとか。こうした交流は一種のマーケティングリサーチ手法ともいえるだろう。
最近のヒット作は、「クロールで25」だ。泳げない児童向けの、浮力シートを装着できる水着で、レッスンDVDと水濡れに強い教本がセットになっている。10時間で泳げるようになるというから驚きだ。
開発の始まりは、泳げない子どもが増えているという新聞記事だった。これを読んだ社員は、自分も泳ぎが苦手だった経験があったため、強い思いもあり、いろいろと探し回った。
そうして巡り合った水泳の家庭教師のAQUA社と協力して開発した商品だ。親子向けに作った商品だが、学校からの問い合わせも多いという。
フットマークのホームページには2006年に作った「100年年表」が掲げられている。これまでの社史ばかりでなく、将来構想も書き込まれており、2021年には「日本人が世界の健康文化を築く」とある。
海外の新興スポーツメーカーとの提携や製品の輸出など、海外展開も少しずつ始めている。同社のユニークな商品が、海外にも新しい文化を普及させていく、そんな日も遠くないかもしれない。
(写真:今井 康一)
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