「介護」と言う言葉を生んだ発明魂 フットマーク、アイデアが湧き出す仕組み
濡れた水泳用具を入れる巾着型のスイムバッグや、着替えのときに体を隠せる、てるてる坊主型にゴムの絞りの入った着替え用タオルなどは、子どもたちの夏の風物詩として誰もが見たり、使ったりしたことがあるだろう。
さらに、水泳教育の第一人者の意見を取り入れて、ビート板などの水泳用教材も開発した。
今では、同社は日本の水泳帽市場でシェアの大半を占めている(OEMを含む)。このように、関連用品の開発を通じて、日本で水泳を普及させることに貢献してきた。
介護という言葉を作り出す
乳児用おむつカバーは先細りになったが、やがてお年寄り用のおむつカバーが欲しいという声があがってきた。高齢社会の進行に伴い、寝たきりや認知症、障害など、大人用おむつの利用者は増加している。
しかし、それを使っていることを周囲には知られたくない心理があった。この隠れた需要に着目して大きいサイズを作り「大人用おむつカバー」として売り出したところ、多くの反応があった。
新しい概念のネーミングとして、フットマークの磯部成文社長は「介助」と「看護」という言葉から、「介護」という言葉を作りだした。介護という言葉の生みの親となったのである。
同社の介護用品は、老人ホームの広がりという社会的背景もあって、寝間着や食事用エプロンなど、水泳用品での経験を生かした、防水性、伸縮性のある素材を利用する商品を中心に展開している。
介護というと、暗くて重い課題のように捉えられがちだ。同社は、そういった気持ちを少しでも前向きにできる、そんなことをめざして商品を作っている。
食事用エプロンも、いかにも食べこぼしによる汚れ防止のためにつけるといった感じのものではなく、シャツを着ているように見えるものだったり、冠婚葬祭に使えたり、京都の老舗染色工場とのコラボによるおしゃれなものだったりと、さまざまな商品を作りだしている。