ソニーをダメにした、「派手な成功」狙い 【短期集中連載】冨山和彦氏に聞く(第2回)
携帯端末機はもうギブアップしているが、交換機とかネットワーク系の商売は意外に堅い。
地味なB2Bにこそ活路
ならば、旧電電ファミリーの企業群は、顧客とのすり合わせを必要とするB2Bに商売の軸足を置いていけば、B2C(BtoC=消費者向け取引)のパワーゲームの世界で戦うよりも可能性はある。
エレクトロニクス産業を語るときに、B2Cで派手な成功を収めないとダメといった幻想がある。評論家の側に。ソニーもそこを期待されるでしょ。馬鹿だと思いますね、あの議論は。
もともとITの世界はB2BとB2Cが交錯する。交換機はB2Bだが、端末機はB2C。あと、コンピュータ、パソコンもB2Bの部分もあれば、B2Cの部分もあった。ある時期まではむしろB2Bの部分が大きかった。
それで旧電電ファミリーは技術ベースで成功したが、技術ベースで成功し続けられるほどビジネスは甘くない。やっぱりB2B型で出来上がった会社がB2Cで成功するのは非常にハードルが高い。
まさかパソコンや携帯端末がここまで官能性商材になるとは思わなかった。それはインターネットのなせる業なんだ。インターネットが出てくるまでは、パソコンも携帯端末もやはり機能材だった。それが完全に官能財になった。だから、スティーブ・ジョブズは復活できた。