ソニーをダメにした、「派手な成功」狙い 【短期集中連載】冨山和彦氏に聞く(第2回)
オリンパスはまさにその典型例だ。だから、内視鏡ビジネスは結局揺るがなかった。お医者さんとめちゃくちゃすり合っているから。微妙な操作をするのに機械が変わったら一から勉強になるから、そんなにスイッチされない。
旧電電ファミリーというのはB2Bに集中していけば、はるかにゲームはやりやすいと思う。そのまま旧電電向けビジネスだけをやっていると先がないので、そこで世界で最も安全性が高く、最も安定している日本で出来上がった、システムとしてのノウハウを汎用化して、世界に横展開できるかという先ほどのすり合わせの議論と同じ課題が出てくる。
これは電力のビジネスでも同じことがいえる。本当に日本のグリッド技術が世界一なら、世界で売ることを考えるべきだ。グリッドは世界一だから発送電分離は嫌だとか言っているのではなく、もし本当に世界一だったらそれを買う人はいるはず。経済価値があるということだから。
日本の電機メーカーの手本はGE
くどいようだが、GEは日本のエレクトロニクスメーカーの手本になる。
GEがやっているのはガスタービン、白物家電、照明器具、航空機エンジン、医療機器。それであれだけの巨大企業になれる。なぜ医療機器ではGEやフィリップス、ジーメンスの天下になっているのか。医療機器は日本が得意なすり合わせの塊だ。メカトロや工作機械でこんなに強い国が医療機器で勝てないなんてことはあり得ない。ガスタービンだっていまだGEの後塵を拝している。
日本でも、すり合わせを標準化して展開して成功している企業はある。ファナック、コマツ、ダイキン、日本電産などがそうだ。彼らのようにそれぞれの立場でB2Bをもっと高度化、最適化できるはずだ。