シャープ、最大7000人リストラの真実味 債務超過で社長交代、波乱の再出発
同日、取締役の刷新も発表され、社外含め現在13人いる取締役のうち、11人が6月23日の株主総会をもって退任し、高橋社長は6月末メドの出資完了をもって退任する。銀行出身者も引き上げ、現任で続投するのはシャープ生え抜きで家電畑の長谷川祥典専務のみ。
社長に戴氏、社外取締役にはソニー出身の石田氏
新たな取締役は鴻海が6名、シャープが3名選任し、社長は鴻海におけるナンバー2の戴正呉副総裁が就任する。社外取締役には、ソニー出身でハワードストリンガー社長時代に平井一夫現社長とともに”四銃士”として取り立てられた石田佳久氏の名前が挙がった。
石田氏はソニーがVAIOの製造を鴻海に委託した時の責任者で、郭台銘(テリー・ゴウ)董事長とは当時からの付き合い。石田氏は現在、LGディスプレイの日本法人のコンサルタントを務めるが、シャープにとってLGは液晶事業で競合関係にあるだけに、今後の両社の関係に変化がある可能性もある。
「必死にあがいた3年間だった」。高橋社長は自身の退任発表に際し、落ち着いた様子で社長としての日々を振り返った。退任後については「会社に残るつもりはない」と断言、続投に意欲を示していた3カ月前から一変して、もう未練はないようだった。
人員削減に関し、高橋社長は説明会では「すぐに希望退職をまたやるという考えは持っていない。出資がまだ終わっていないので詳細な検討できない」「具体的な(希望退職の募集に関する)数字を持っているわけではない」と説明。冒頭の7000人のリストラに関しては、「誤った開示内容で、再掲載した資料が公式な発表内容」(シャープ広報)とした。
ただ、これ以上業績が悪化すれば、シャープは鴻海から出資条件の変更も迫られかねない。そうした事態を避けるためにも、出資が完了した後に、人員削減に着手する計画があるとしても不思議ではない。
液晶相場の下落や太陽光発電市場の縮小で、足元の事業環境は厳しくなる一途。事業の急改善が見込めない以上、生き残るにはさらに身を削る必要がある。7月以降の新生シャープを待っているのは、茨の道のようだ。
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