「ノマド=カフェで仕事」ではありません
遊びと仕事の境目がなくなれば、どちらも手にできる
「良い会社の定義」は、「どんな会社で働けば幸せなのか?」という問いにつながります。本当の幸せとは、何をするかを自分で決められる「選択の自由」があることではないでしょうか。
幸せの絶対条件に自由がある。この価値観の変容の象徴として、ノマドがあります。ノマドとは、生き方・働き方において選択の自由を持つことであり、自由には責任が伴います。
自由と責任を伴う働き方とは、組織が基本だった時代にはない、オルタナティブな働き方です。働く場所や時間、意思決定について制約がある代わりに、失敗しても責任もリスクもないというのが、長く続いたホワイトカラーの働き方なのですから。
そのほうが安全で快適だと思う人がいるのも不思議はないし、「自由がなくても社員として働きたい」という人もいます。型にはまってこそ能力を発揮できるタイプもいます。価値観は人それぞれです。ただ、20年前に比べれば「選択の自由」に価値を見いだし、自由と責任を伴う働き方を選ぶ人が増えていることは確かなようです。
「Fortune100でなくFortunate100になりたい」とは、サウスウエスト航空の元社長コリーン・バレットの言葉です。優良企業の指標とされる「Fortune100」も、結局は売り上げベースで決まります。しかし幸せな(Fortunate)会社かどうかは、売り上げベースといった単純なことでは測れません。
福利厚生を充実させ、センスあふれるオフィスをつくったら幸せな会社なのかといえば、これも違うでしょう。
バレットの発言からも、「どう働き、どう生きれば幸せか? どんな価値観を持つか?」といったことを、1人ひとりがきちんと考える時代がやってきたことがわかります。
「生きることの達人は、仕事と遊び、労働と余暇、心と体、教育と娯楽、愛と宗教の区別をつけない。何をやるにしろ、その道で卓越していることをめざす。仕事か遊びかは周りが決めてくれる。当人にとっては、常に仕事であり、遊びでもあるのだ」(老子)
これは私のお気に入りの言葉です。仕事と遊びに境目があるからこそ、「好きなことをやりたいから、給与は低くてもいい」「高収入を望むから、休みやプライベートを犠牲にする」というトレードオフ思考となります。しかし、遊びと仕事の境目がなくなれば、どちらも同時に手にすることが可能となりますし、二択を超えた価値観も生まれてくるでしょう。
(構成:青木由美子、撮影:尾形文繁)
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