ただし、どうしてもその百貨店で買いたいと思っている商品を手に入れるにはいい方法でしょうし、他にも特典がつくことがあるので、その百貨店のヘビーユーザーであれば十分利用価値はあると思います。
利用する際に、気を付けるべき点としては、まずは先ほど言ったように「金融商品」と間違えないことです。マイナス金利だからと言って利殖の対象にするのは、適切とは言えません。
「金利が高くてお得だから、こんな低金利の時代には積立額を増やしてたくさん利用しよう」などとは考えないほうがいいでしょう。それは、結局おカネを増やす方向ではなく、どんどんおカネを使ってしまう方向に行くことになるからです。
次の留意点ですが、百貨店で売っている品物は比較的高級品の類です。日常的な買い物をするのであれば、スーパーや家電量販店で十分です。いくら15%もの金利がつくとは言っても、同じ品物を量販店で買えばもっと安く買えるはずですから、あくまでも限定的な利用にとどめるのがいいと思います。
金券は、“もらって得したおカネ”という感覚になる
もうひとつ消費者として気をつけるべきことは、これから新たに自分の財布のおカネを出すのと違って、友の会で発行された金券は、“もらって得したおカネ”という感覚になりがちなことです。これは行動経済学で言う「メンタル・アカウンティング(心の中の別会計)」のようなものです。
自分のおカネを積み立てただけであるにもかかわらず、ボーナスポイントの1万円を加えて金券をもらうと、「百貨店からもらった金券」という感覚になりがちなのです。しかも1年前から銀行口座からの引き落としで積み立てられてきたはずですから、負担感はあまり感じていないはずです。
そんなときに一度に13万円の金券を手にすると、購買行動の気持ちがゆるみ、つい余計なものを買ってしまいがちになります。財布の中にある現金を使うときはそういうことはないのでしょうが、友の会の金券というのは、心の中の別の会計勘定から出てきているからです。百貨店側もそれが狙いなのかもしれません。
ただし、百貨店でしか買えないような品物を計画的に購入する場合には、とても有利な手段だと思います。この“計画的”ということがとても大切なのです。欲しいものがあったときに、それを我慢できず、ローンを利用して買ってしまい、無駄な金利を払い続けるということを考えると、「友の会」で楽しみを先に持ちながら積み立てていくというのは極めて健全、かつ合理的な行動と言っていいでしょう。
マイナス金利時代に有利な金融商品と考えるのではなく、計画的に有利な買い物をするための方法と考えれば、とても利用価値のある仕組みだろうと思います。
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