年利15%?「百貨店積み立て」は本当にお得か 「金融商品」と考えるとケガをするワケ

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したがって、正確な利回り計算をしようと思うと「IRR(内部収益率)」という計算方法を使う必要があります。ただ、あまり正確ではなくてもおおよその計算は簡単にできます。最初の1万円の運用期間は12カ月、2回目の1万円は11カ月といった具合になりますので12カ月+11カ月+……+1カ月といった具合に、毎月の1万円を預かっている期間の月数を合計すると78カ月になります。

これを、おカネを出した回数の12回で割ると、78カ月÷12=6.5カ月となります。これが全12回のおカネの平均預け入れ期間ということになります。つまり1万円の利益を得るために1万円×6.5カ月=6.5万円を1年間預けたのと同じということですから、おおよその利回りは1万円÷6.5万円≒15.38%ということになります。

これは確かに、かなり高い利回りと言っていいでしょう。ただ、利回りが重要なのはあくまでも金融商品の場合です。「友の会積み立て」は金融商品というわけではありません。いつでも現金化できるわけではありませんし、積み立てで得られた金券は、その百貨店および系列のお店でしか利用できないからです。

百貨店にとっても、メリットは大きい

このように考えてみると、「友の会積み立て」は積み立て貯蓄という金融商品ではなく、小売店における「ポイントサービス」に近い性格のものだと言っていいでしょう。

買い物をしたからつくポイントではありませんが、将来買い物をする予定のおカネをお店に預けておくことでつくポイントですから、方法が違うだけで本質は「ポイントサービス」と同じと考えていいのです。

したがって、15%という数字は、金融商品における利回りと同一に論じることはできません。

では、これをお店の側から見てみるとどうでしょうか。15%を超えるような高い金利をつけるメリットがあるのでしょうか。

実は百貨店側から見れば、付与する金利は実質的にはもっと低いのです。前述のように積み立てたおカネは必ず自分のところで使ってくれますから、これは売り上げの先取りです。

具体的な数字でいうと、顧客は13万円の買い物をしてくれるわけですから、売り上げ13万円となり、それに対して1万円を負担することになります。この経費率は1万円÷13万円≒7.7%です。

それぐらいの経費率の増加であれば、売り上げが増えることによる利益の増加でカバーすることは十分可能です。友の会の人数を増やすことで売り上げが増えれば、粗利が増えますから、7.7%の販促費をカバーしても得られるメリットは大きいと考えていいでしょう。どんな商売でもそうですが、売り手が損をするような商売は絶対にするわけがないのです。

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