部下は「プチ志」を語る上司についてくる 優れたリーダーは「価値観の共有」を重視する

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解説II 人間観と職場管理

職場管理のやり方には、管理者の人間観が色濃く反映します。性善説の人間観からは、部下を信頼する職場管理が生まれます。性悪説の人間観からは部下の不正を防止する職場管理が生まれます。「人間は○○だ。だから、××の管理が必要」と考えるからです。

筆者は、部下を「預かりもの」と考えます。社会から預かった人的資産。無駄遣いをせず、利子を付けて社会にお返しすべきもの。そう考えると、「仕事を通じて社会で役立つ人間を育てる」という考え方が生まれます。そんな部下を育てれば、会社にも役立つはず、そう考えます。

部下に語って共感を得よ

中嶋の問い③:どこまで出世したいの?

中嶋:ところで、君はどこまで出世したいの?

宇貝:今、課長ですから、部長くらいにはなりたいです。もう少し大きな仕事ができますから。

中嶋:その備えはしているかい?

宇貝:いや~。今の仕事で精いっぱいです。

中嶋:並の課長から並の部長になって、並の高齢者になるんだな(笑)

宇貝:き、きついお言葉で(汗)

解説III プチ志の大切さ

組織で働いているときは、目の前の仕事に注意が集中しがち。そのため、仕事を通じて何をしたいのかを考えることを放棄しがちです。しかし、それでは、コンパスを持たず波間に漂う小船のようなものです。天下国家を論じる必要はないとしても、職場をどうしたい、部下をどう育てたい、自分の人生をどう作りたいといった事柄を、少しは考える必要があります。

「自分が吐き出した二酸化炭素の量くらいは、社会に酸素をつくり出す」。大きな志は不要だとしても、自分なりの小さな志(プチ志)をもち、それを部下に語って、共感を得る。その継続から、プチ志が成長する。そんなイメージを持ちたいものです。

中嶋 哲夫 人事教育コンサルタント、MBO実践支援センター代表

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なかしま てつお / Nakashima Tetsuo

1948年生まれ。京都大学経済学部卒業。20年間の企業生活(鐘淵化学工業、現・カネカ)において、企業内ベンチャー、営業、人事の業務を体験。人事部門では、社員教育と人事企画を担当し、目標管理制度の運用に従事。仕事を通じて学ぶ目標管理に共鳴し、その考え方と実践ノウハウを現場管理者とともに開発。1991年に退社し、人事教育コンサルタント。産労総合研究所MBO実践研究所顧問を務めた後、MBO実践支援センターを設立。代表として良い職場づくりを目指す人事担当者と管理者を指導する。数多くの企業において、目標管理を活かした職場づくりを指導している。この間、大阪大学大学院国際公共政策研究科に進み、人事評価データや賃金データの統計解析を研究。2007年に博士(国際公共政策)。現在、大手前大学、大阪商業大学大学院にて非常勤講師を務める。著書に、『岐路に立ったら読む ライフマネジメント』(共著、中央経済社)、『目標管理ハンドブック』(共著、経営書院)、『人事の経済分析』『人事の統計分析』(ともに共編著、ミネルヴァ書房)など。

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