東芝「極めてホワイトな新社長」で起死回生? 医療事業を予想以上の高値で売却した救世主
――綱川・志賀体制だと半導体の知見が足らない。半導体は事業売却するのか。
綱川 半導体担当の成毛康雄副社長がオペレーションしている。成毛副社長の判断を尊重して進めていく。
――一連の不正会計は広範囲に蔓延し深刻だ。風土改革は困難。なぜ自由闊達な風土は失われていたのか。
綱川 ものが言えない風土があったということはよく言われていること。私自身は誠実な経営を自ら示していく。
志賀 構造改革が遅れて、そういう風土が醸成された。
東芝メディカルはキヤノンに「嫁いだ娘」
――志賀氏は不正会計に関与した疑いのある14人の1人だ。
志賀 当時の役割の中ではきちんと対処した。
小林 過去についてはそういう理解を共有している。若干のグレーと思う人がいるならば、本人が(シロであることを)明確にしていくのも必要だと思う。
今後、強い東芝になるには、これだけグローバルな実績があり、原子力という国策的な事業をやるには余人を持って代えがたい。そちらを重く見て、副社長という肩書より、会長という肩書で対処するのが適当であろうと判断した。
――2012年、2013年のウェスチングハウス社単体の減損について、当時会長だった志賀氏に開示義務があった。なぜ東芝の取締役会に付議しなかったのか。
志賀 昨年11月に話したように、開示義務についての認識が十分でなかった。ただ、ウェスチングハウスのすべての財務報告書は東芝に提出している。
――綱川氏が今までで印象に残っているエピソードは。
綱川 海外勤務時代に組織作りが難しくて非常に苦労した。社員時代は失敗したことが多かった。
――世界有数のMRI企業に育て上げた東芝メディカルを売却せざるを得なかった気持ちは。
綱川 一言で言うと、娘が嫁いだ後の父親の気分。必ずや嫁ぎ先で大きく成長する、幸せになると信じているので、陰ながら応援したい。財務体質の弱い東芝に残っているよりは、メディカルを評価してくれる会社に移って世界に出たほうが、日本の産業にとってもよかったのではないかと思う。
――座右の銘は?
綱川 これといったものはないが、特に今感じているのは「餅は餅屋」。プロ(の仕事)はプロに任せる。細かいところに口を出すのではなく、自主自立運営を尊重し、大所(高所)から物事を見ることを意識している。
(撮影:梅谷秀司)
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