東芝「極めてホワイトな新社長」で起死回生? 医療事業を予想以上の高値で売却した救世主

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一方、新会長に就く志賀氏は1953年12月生まれの62歳。東北大学工学部原子核工学科修士課程を修了後、東芝に入社。以後、原子力畑を歩んできた。米原子力大手・ウェスチングハウスの買収に成功すると、2006年12月に同社上級副社長兼CCO(チーフ・コーディネーション・オフィサー)に就任。2010年7月には同社会長に就任、2013年12月まで同社会長を務めてきた。志賀氏は会長に就任後も「エネルギー部門を見ながら、東芝のプレゼンス向上を図るのが役割」(室町社長)。

左から、医療出身の綱川新社長、原発出身の志賀新会長、半導体出身の室町現社長

就任の理由は志賀氏の「豊富な知見と人脈」(室町社長)。志賀氏は第三者委員会に不正会計への関与を疑われており、「若干のグレーと思われている」(小林委員長)が、「強い東芝になるには、志賀氏のグローバルな実績が重要。原子力という国策的な事業をやるうえで余人を持って代えがたい」(同)と判断された。失った信頼の回復も新会長の課題だ。

また、特別顧問に就任する室町社長は、「執行サイドの要請に応じてプレゼンス向上に寄与する」(室町社長)という位置づけ。東芝は不正会計の発覚で東京証券取引所の特設注意市場銘柄に指定され、現在も解除されていない。室町社長はかつて自身の任期のメドについて、「同銘柄からの解除までは」と語っていた。道半ばで社長の任を解かれることとなったが、今後も指定解除のために「執行サイドから求められたら」意見を言うつもりだという。

会見の主な1問1答は以下の通り。

「相対的に最もきれいである」とは?

――当面の課題は何か。パソコンの(富士通・VAIOとの)統合交渉が白紙に戻り、事業再編は道半ばだが。

綱川 財務体質の強化が大きな課題。3注力領域(エネルギー、社会インフラ、ストレージ)でしっかりと成長していくことも課題だ。パソコンは機種・地域を絞り、BtoBにすることで、かなり自力再生でプラス(=黒字)になる状況になっている。今、自力再生の道を進んでいるが、再編の可能性も同時に検討していく。

志賀 損なわれた東芝に対しての信頼感、ブランドイメージをどう回復していくかに尽きる。

――不正会計とのかかわりは考慮したのか。外部からの招聘をいったん検討しておきながら、結果的に外部から招聘しなかったのはなぜか。

小林 「(新社長・新会長とも)基本的にはホワイトである。相対的に最もきれいである」という第三者委員会の結論を踏襲した。外部からの招聘は大きなオプション(=有力な選択肢)だった。

しかし、原子力は長期的な戦略がある一方、ストレージは短期間に資金を注入しないといけない。また、IoT(モノのインターネット)含めAI(人工知能)など第4次産業革命の中で社会インフラを構築していくなど、広くて深い事業領域を持つ東芝を引っ張っていかないといけない。

(かつて外部から社長に招聘した)石坂泰三氏(第一生命元社長)とか土光敏夫氏(石川島重工業・現IHI元社長)の時代とは違う。東芝をよく知る人のほうがきちんと成長させる力があるのではないか。

単一のシンプルなビジネスモデルならば外部からの招聘もありうるが、(生え抜きの人材で)早く次の東芝の方向性を明確にしてやっていかないと、上手くいかないだろうというのが指名委員会の意見だった。

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