田中:ECサイトもいろいろ手掛けられているようですが、ECのほうから具体的に「こういう機能を作ってくれ」と言われる、いわゆるシステム会社っぽいのか、もっと漠とした感じで「こんな問題を解決したいんだけど、猪子さん、何とかしてよ」みたいな感じなのか……。どういうふうに事業が回っているのかなあ?と。
たとえば、われわれは客になりえますか? 靴のECは。
猪子:お客さんになってくださいよ。
田中:その場合、どういうふうにお願いすればいいんですか?
猪子:まず仕事をしたそうにする。
田中:はい?!
猪子:仕事をしたそうにする。お客様が(笑)。
田中:ぼくがですか?
猪子:うん。そしたら考える(笑)。
田中:じゃあ、「猪子さんとぜひお仕事をさせてほしい」と申し上げて。
猪子:そうですね。で、ご提案する(笑)。ちゃんと言うと、問い合わせメールが来たり、誰かに紹介されたりして、呼ばれて、相談されて、ご提案する感じです。
田中:「私がチームラボのお客さんになれたら、こんなふうにしたい」と要望をお伝えするのか、それともお客さんの要望は一切聞かずに?
猪子:いや、聞くときもあれば聞かないときもあれば……。お客さんの側に明確にあるときは聞きます。たとえば「ECの売り上げを上げたい」っていうんだったら、そういうご提案をする。
コビト、見に行きたくない?
田中:もっと漠としていて「チームラボさんにやってほしいんだけど、よくわかんないからとりあえずお願いします」みたいなこともあるんですか?
猪子:そういうのもあります。なんか漠然と呼ばれるときも。
田中:で、ご提案をして、モノを作って、という感じなんですか?
猪子:そうですね……。まあでも、そんなこと言われたら、どうやって会社が回ってるか、オレもわかんなくなってきました。
田中:あはははは。一方で、美術展などに作品を出展されて、かなり時間をかけられているようですが。
猪子:はい。
田中:あれはおカネをもらってやっているわけではなく?
猪子:もともとはもらってやってたんです。もらってソリューションとしてアートをやってます。
田中:ソリューションとして?
猪子:たとえば、もし靴のECをやっていなかったとして、「いちばん好きな靴のブランドの新作を発表する」って言われたら、見に行きます?
田中:うーん……行かないですね。
猪子:見に行かないでしょ? でもコビト、見に行きたくないですか?
田中:えっ?! 小人、ですか?
猪子:行きたくないか(笑)。
田中:ああ、行きたいです! さっきチラッと作品を別室で見せてもらいました。
注)ここで小人とは、チームラボの作品「秩序がなくともピースは成り立つ」のことを指している。スマートフォンを100台以上使ったインタラクティブなアニメーションのジオラマ。1台のスマートフォンが1つのキャラクターとなり、知覚(カメラ、マイク)、知能(コンピュータ、ソフトウエア)、表現(ディスプレー)、コミュニケーション(通信)を持ち、互いに連携を取りながら、外部(人の動き)に対して反応する。国立台湾美術館に出展された。
猪子:いや、マジな話、見に行きたくないか。
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