スマートテレビに未知の可能性、日本に残された逆転の芽 猪子寿之・チームラボ社長に聞く
東京大学発のベンチャー企業・チームラボ創業者の猪子寿之氏は、2006年に産経新聞のニュース・ブログポータル「iza」を開発、全国紙トップの人気ポータルに育て上げた。08年には、日仏交流150周年事業の一環としてデジタル・メディア・アート「花と屍(かばね)」を発表、高級紙ル・モンドから絶讃された。
“超ヤバイもの”を作り、世間にインパクトを与え続けてきた情報化社会の異端児の目には、現在の日本家電メーカーの衰退は必然と映るという。「このままでは消えていくが、生き残るすべがないわけではない」と語る猪子氏からの、家電メーカーに向けた辛口激励メッセージをお届けする。
--なぜ日本の家電メーカーはここまで窮地に追い込まれたのか。
家電製品は、従来の家電産業が提供するべきものではなくなったということだ。日本の家電メーカーは、ハードの開発がまず先にあり、そこにネット接続機能を付加するというプロセスをたどる。しかし、現在は、まずネットの設計を考え、それに合わせたハードを作るという順番でなければならない。
日本メーカーがスマートフォン(スマホ)で、アップルのアイフォーンに完敗したのもこのためだ。スマホはこれまでのケータイとはまったく別物。スマホは持ち歩くパソコン(PC)であり、電話機能はサブ的な位置づけだ。
さらにいえば、スマホはPCともまったく違う。PCは仕事で使用することが多いが、スマホはつねに持ち歩いてプライベートで利用することが多い。となると、ケータイともPCともまったく違うコンセプトで、もっと遊びを意識して楽しく使えるようなネット設計をしなければならない。