その男、凶暴につき ヤバイ日本建設大綱<中> 猪子寿之・チームラボ社長に聞く
では、どうやって意思決定するのか。全社員にメールを投げるのだ。
テーマが多様である以上、固定された5人の役員の判断がつねにベストのはずはない。テーマをあいまいに社内に流通させ、関心を持つ人間、スキルのある人間を巻き込みながら結論に到達したほうがいい。
あるいは、マーケットに決めてもらう。
チームラボには「夏休みの自由研究」がある。夏と冬、社内コンペを開催し、最多票を獲得した社員に2週間の休暇が与えられる。当の社員は2週間で受賞作をプロトタイプに仕上げ、ユーチューブやブログにアップする。クライアントの目に留まり、世間に評価されれば、晴れてプロジェクトに昇格する。
だが、プロトタイプは企業機密だろう。ブログにアップする?
「バンバン出します。スピードが速いから、秘密にしている間に追い越される。自由研究以外にも、現場のエンジニアがこっそりアイデアをプロジェクトに潜り込ませたり、勝手にブログにアップしたり」
社員の上下関係もない。サーチ(検索)、データベース、CGなど社員のスペシャリティ(専門性)は多種多様。「組織はフラットにならざるをえない。究極的に言えば、エンジニアとデザイナー。どっちが上という関係なんて作れます?」。
プロジェクトごとにチームが結成され、終わると解散。プロジェクトマネジャー(PM)はいるが、それは「取りまとめ」という一つの役割。今回のPMが次回もPMになるとは限らない。猪子自身、いろんなプロジェクトに参加するが、PMになったことは一度もない。
では、上下の監督=命令系統がないとき、仕事の「質」はいかに担保されるのか。
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