自主独立の道を貫き通す! 復活を手にしたマルエツ

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高橋が営業回復策としてもう一つ力を入れたのが、生鮮食品の強化。中心となる青果では、仕入れを7市場から10市場に分散させた。地域のニーズにより密に対応するためだ。

ある食品メーカー担当者は、「青果の鮮度が格段に向上した。それに伴い販促策もきめ細かくなってきた」と評価する。今年2月にはネギの販売企画を実施。食品メーカーはネギを使ったメニューを提案し、関連商材の販売を強化した。その結果、青果は08年2月期「前期比2ケタ伸びた」(高橋)という。

マルエツの店舗は概して小面積。目新しさを仕掛けるには限度がある。結局、高橋が目指したのは顧客の要望に徹底的に応えるという、スーパーとしての原点回帰だった。自社企画商品「フーデックス」では、お客から2件以上クレームがあればその商品を売り場から撤去してしまう。買い手優先を徹底するのだ。

首都圏という肥沃な市場にマルエツはスーパーで最大の店舗数を誇る。もともと市場の成長性は高いが、一歩進めて消費者が本来期待する姿を愚直に追った成果は数字に表れた。高橋の社長就任から1年後、営業利益は58億円へと急回復した。

07年3月、好発進したマルエツに、別の新しい“親”が出現する。総合スーパー最大手のイオンだ。ダイエー再建に絡み、イオンはマルエツ株を取得。追って同年9月にもダイエーの保有株を追加取得、出資比率33・2%の筆頭株主へ躍り出たのだ。

首都圏の店舗網が薄いイオンにとって、マルエツは魅力的な存在である。マルエツは自主性を取り戻す過程で、また巨大流通資本と対峙せざるをえなくなった。しかし高橋の姿勢は依然明確だ。「あくまで自主・自立・自己責任。イオンとの提携は是々非々でいく」と明言する。


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