自主独立の道を貫き通す! 復活を手にしたマルエツ

「よそ者、若者、ばか者」を自らの手で育てていく

その姿勢が最も端的に表れたのが、物流の見直しである。

現在はダイエーと共有している標準店の物流を、10年度以降はイオンの物流会社であるイオングローバルSCMに移管することになった。一見、新たな“親”依存に見えるが、実態は違う。マルエツは見直しの際、物流8社でコンペを実施。その中で「当社の意向を反映でき、コスト削減効果が最も期待できるのがイオンだった」(高橋)という。総合スーパーの物流は食品スーパーとは異なる面も多い。今後はマルエツが自社に最適な物流を提案し、イオンに委託する。イオンとしてもそれに成功すれば、グループの他の食品スーパーに応用することが可能になる。

イオンとの資本提携交渉でマルエツがこだわったのは、イオンの出資比率が経営上の拒否権を持つ3分の1を超えないことだった。イオンの出資決定を高橋は社員にこう報告した。「これで3分の1を超える大株主はいなくなった。どこかに頼る気もないが、頼るところもなくなった」。それは紛れもなく、“マルエツらしさを取り戻す”道に路線変更はないという再宣言にほかならない。

この春、マルエツ社内はどよめいた。14本部長のうち12人を入れ替える人事異動。本部長は各部門のエキスパートが多く、部門を越えたこれほどの規模の異動は過去にない。

高橋の思惑は、「よそ者、若者、ばか者をつくる。これまではよそ者は大株主から来ていたが、今後は自分たち
でつくらなければならない」。新しい視点を持つよそ者、何をも恐れない若者、徹底して物事をやり遂げるばか者。そんな人間たちが、自主独立の推進力となるはずだ。

09年2月期は14年前の営業最高益82億円を更新すると見られる。それでも現状を「集中治療室から一般病棟へ移っただけ」と表現する高橋。よそ者、若者、そしてばか者を、どう増やしていくか。手綱が緩むヒマは当分ない。 =敬称略=
(並木厚憲 撮影:玉川陽平、風間仁一郎、今井康一 =週刊東洋経済)

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