自主独立の道を貫き通す! 復活を手にしたマルエツ
今年2月末で店舗数は237店を数え、部門主任は店ごとにいるから送る数は膨大だ。06年度に送ったメールは店長宛が921件、主任へは6820件。予算達成店が増えた07年度には、それぞれ1416件、9376件へ激増した。それとは別に、店長の誕生日にはバースデーカードも贈っている。昨年からは副店長もリストに加わった。そして社員からの返信に、1通1通目を通す。
07年2月期までの2年間に閉鎖した赤字店は33店。06年2月期には管理職賞与を5割カットするなど、業界でも高水準といわれた人件費を18億円削減(単体ベース)した。社員の団結など空中分解しかねない過酷な状況下、その取り組み一つひとつが“全員参加”の空気を醸成した。ある店長はつぶやいた。「高橋社長になってから、独自の方法でやっていくという風潮に変わった」。
お客の声を愚直に追う クレーム2件で商品撤去
営業面でも新しい作戦を繰り出してきた。ここでもキーワードは「自主性」だ。
当時マルエツは商品の7割をダイエー経由で仕入れていた。マルエツが要請すれば、ダイエーにない商品の仕入れも可能だったが、いかんせん直接仕入れでないため、店頭までに時間がかかった。それを高橋は06年3月から、自社の直接仕入れに切り替えたのだ。
東京・品川区にある「港南ワールドシティ店」。果汁100%ジュースや無脂肪ヨーグルト、ペットフードなど小ぶりな店舗の割に品ぞろえが充実している。これらはお客からの投書である「店長への直行便」で導入の要望があった商品だ。同店の「直行便」は全店最多の月平均60件。ペットフードは要望から2週間後で導入するなど、迅速な対応が同店を活気づける。
直行便で、客のダイエット志向が強いことも知り総菜の揚げ油を健康サラダ油に変更している。「落ち着いた雰囲気で買い物がしたい」との声には、店内BGMをピアノ音楽に切り替えて応えた。ダイエーからの親離れをきっかけに、地域の顧客ニーズをあらためて拾い上げていく動きが広がっていった。
また、話題性の高い商品や季節商品から商品部が推奨アイテム20品を毎週挙げ、全店で展開する「店長の太鼓判」も導入された。販売手法は各店長に一任され、手書き掲示や赤字書きで訴求するなど、なかなか泥臭い。が、高橋は「チンドン屋でいい。店の売りたいという意志がお客様に伝われば」と効果に期待する。