確かにアメリカの税率は40.75%になってはいるが、州によって違う(ネバダ州などは35%)から、財務省特有の「見せかけのテクニック」である。国民不在の政治と官僚天国が今のまま続くなら、グローバル企業だけでなく、真面目な納税者たちも海外に逃げてしまうことを、止める事はできないだろう。
パナソニックも日本も「思い違い」をしている
一方、日本政府の中でも、とくに経済産業省は素材産業の空洞化を最も恐れているようにみえる。「もしも日本の大企業がみんな海外に進出してしまったら日本国内には働く場所もなくなってしまう」と危機感を煽っている。だが、政府の言う通りにすれば日本メーカーは座して死を待つことになるだろう。
日本では少子化傾向が進み老齢化が進んでいるのだ。それゆえ国内市場はますます縮小していく。また国民の生活レベルは成熟して生活にもある程度満足しており、もはや家電製品で買うものを見つけることは難しい。もしも政府の言うとおりに、海外進出をためらっていたら、日本のメーカーはじり貧になって、ついには潰れてしまうと見るのが現実的な見方だ。
従って、サバイバルを図る優良企業の考え方は、まず海外にどんどん進出して海外で儲ける。海外で得た利益を日本に送金して、その利益で何とか国内の雇用を守り、新しい技術を開発したり、新製品を生み出したりする。これこそが日本や優良企業の役割だと考えている。
政府の経済政策や対外政策が何も決められないから七重苦を招いていることも事実ではある。だが、日本の企業も危機感が少ない。不平不満をいっているばかりではだめだ。そんなことをいっているうちに、知らず知らず、日本の一流企業も、我々日本人全体も、ハングリー精神を忘れてしまい、「被害者意識」にかられるという「思い違い」をしているのではないだろうか?
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