松下よ、浪速の商人魂を取り戻せ(下) 業績V字回復はあるのか

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パナソニックはなぜ巨額の損失を出したのか。

私はサラリーマンの時代から松下幸之助の信奉者で「経営の神様」の本を多く読んできた。経営者になってからは更に精読して「経営の真髄」を勉強してきた。
また、自分の父親が新しいものが大好きで、松下電器産業(当時)のファンだったのだ。私が小学校の5年生の時に、松下電器のテレビが家に来た時のことは今でも忘れられない。洗濯機も冷蔵庫もクーラーも何でも、「近所のどこの家よりも一番に買う」という松下電器の大ファンであった。

世の中の発展に貢献していた満足感が薄れた

ところが家計を預かっていたのは母親だ。父親が新製品を次から次へと買うたびに、母親は最初に出た新製品について「次の年にはもっと品質が上がって価格が下がるから、なんでも初めに買うのは損をする」と、子供の私にはこっそり言っていたものだ。これは面白かった。

後になって松下幸之助さんは「経営のコツここなりと気づいた価値は百万両」(PHP文庫)という著書で以下のような趣旨のことを書いている。「初めにテレビを買って頂いたお客様は確かに損をした気になるかもしれない。

松下幸之助翁ならこの危機にどう立ち向かうだろうか

だが、その人は一番早くテレビの良さを味わっておられる。しかも、それが技術の発展につながり、もっと品質の良いものが作られるので、多大な貢献をされている。みんなが来年買おうと言っていたらテレビは一つも売れないので値段は永久に安くならない」と。どんなことでも、最初に開発をしたものを最初に買う「新しもの好き」がいるから、世の中は発展するという考えは、確かにその通りなのだろう。

ところが、最近は少し事情が変わってきた。この技術発展が同じ日本の中で行われていれば良いのだが、最近はお隣の韓国や中国が日本の「真似」をして、もっと安くて良いものを出してくる。それゆえ、日本メーカーは苦労して開発してきたのに損ばかりしているようにみえる。消費者の考え方もグローバル化してきたから、幸之助さんの考え方だけでは今の時代にはフィットしなくなってきたと言えなくもない。

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