親が元気なうちに聞きたい!「終活のホンネ」 「ライフメモ」があれば親子ともに納得がいく

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葬式で困るのが、遺影に適した写真がないことです。波平も遺影を用意していなかったため、カツオが大変な目に遭いました。

エンディングを明るくする ~ 思いを伝えて備える ~

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人は、亡くなったあとも、家族や周りの人の心の中に「思い出」として〝生き続ける〟という考え方があります。

そのため、「亡くなったあとも、自分の人生は続く」という前提で、自分の人生を”演出”するための「未来ボックス」をつくることをおすすめします。

「未来ボックス」とは、亡くなったときに家族に開けてもらう箱のことです。タイムカプセルの未来編みたいなものです。子どもや孫世代まで遺したい物、生きているときに話せなかった思い出などを記した物やノートを入れておきます。形見の品を入れてもいいでしょう。親の大切な「思い」を子世代へと引き継ぐこともできます。

さらに、代々引き継いでもらいたい貴重品や重要品、財産のリストを入れておけば、いざというときに、「備えボックス」としての役目も果たします。

貴重品や財産の情報があれば、家族は慌てなくてすみますから、周りの家族も安心です。

親の思いを入れた「ボックス」があることで、残された人は、亡き人の思い出をしのび、これから先、幸せに過ごす時間がふえることになるのです。

フネ:「『未来ボックス』に入れた割烹着は、棺桶に入れておくれ。それから、みんなへの手紙と、父さんに天国で読んでもらいたい手紙とプレゼントを入れておくよ。なんだか、人生の終わりが、始まりのような気がしてきたよ」

カツオ:「……」

カツオは、エンディングに向き合っているフネの気持ちがうれしくて、ちょっぴり涙ぐんでいます。

サザエ:「私も『未来ボックス』をつくってみようかしら」

ワカメ:「なんだかエンディングが明るくなりそうね」

フネ:「片づけって、思いを伝えることなんだねえ」

カツオ:「実家を片づけて本当によかったよ」

磯野家にとって、「未来ボックス」に何を入れるかを話すひとときは、また新しい思い出が一つ増えたことになったようです。

渡部 亜矢 実家片づけアドバイザー

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わたなべ あや

1965年神奈川県生まれ。銀行、出版社を経て、2012年に片づけ上手塾エグゼカレッジ表参道校を共同で設立後、「実家の片づけ講師」として活動。2016年一般社団法人実家片づけ整理協会の代表理事となり、「実家の片づけ」に特化したアドバイザー養成講座を開講。高齢化社会に即した生前整理や遺品整理の講師育成、出張片づけサービスの人材育成などに取り組んでいる。最近の「実家の片づけ」への関心の高まりとともに、NHK「あさイチ」、フジテレビ「スーパーニュース」などの番組出演をはじめ、新聞、雑誌に登場。著書に『プロが教える実家の片づけ』(ダイヤモンド社)、『「5つの鉄則」でラクラク! 実家の片づけパーフェクトBOOK』(光文社)がある。

実家片づけ整理協会

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