親が元気なうちに聞きたい!「終活のホンネ」 「ライフメモ」があれば親子ともに納得がいく

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フネのように、周りに迷惑をかけたくないと思ったときが、「生前整理」を始める最大のチャンスで、片づけも進みます。お金の話もしやすくなりますので、早めに節税対策を立てることができ、遺産をめぐって、きょうだいでもめることも少なくなります。

親には何をしてもらうといいか?

まず、親世代にしてもらいたいのは、「貴重品・重要品のリストアップ」です。預金なら銀行名や残高などの詳細を明記し、保険なら契約内容、受取人や金額などの相続財産目録を作成してもらいます。

ご両親が健在なお宅は、ぜひ夫婦で、どこに何があるのかを話すところから始めてください。案外、共有されていないことが多いものです。せめて緊急時のためのリストを共有しておくといいでしょう。〝ここを見ればわかる〟という状態にして大事な物をしまっておかないと、磯野家のように遺された家族が右往左往することになります。

遺言書では、財産に関することが書けます。相続放棄の手続きは亡くなって3ヶ月、相続税の納付期限は10ヶ月しかなく手続きが大変なので、遺言書があると、遺された家族は本当に助かります。親が終活に興味を示したら、相続財産目録を仕上げてから、遺言書に取り組むとスムーズにいきます。

ただし遺言書は、書いた時点で判断できる能力があったかどうかが問われます。病気になってから慌てて遺言書を書こうとしても、時間と手間がかかるケースもありますので、親世代が元気なうちに、書いてもらうに越したことはないのです。

生前贈与は、節税効果が見込める場合に検討するといいでしょう。生きているうちに贈与を受ける人一人当たり年間で110万円の基礎控除があり、贈与を受ける対象者についての制限がありません。子や孫だけでなく、それ以外の方にも財産を渡すことができます。

教育に充てる資金なら1500万円までの贈与を非課税とする制度があり、孫だけでなく、ひ孫にも適用されます。ただし、贈与を受ける側が30歳までです。

また、婚姻期間が20年以上の夫婦に限り、一定の要件を満たせば、夫婦の間で住まいの不動産を2000万円まで贈与が控除される制度もあります。フネの場合、波平から所有権を部分的にでも移しておけば、相続税を減らせたでしょう。

そのほか、生前贈与にはいろいろな制度や手続きがあります。早めに税理士やファイナンシャル・プランナー(FP)に相談しておくといいでしょう。

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