親が元気なうちに聞きたい!「終活のホンネ」 「ライフメモ」があれば親子ともに納得がいく

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親が生きているうちに片づけられない場合は、片づけの費用を残しておき、そのことを遺言書に書いておくとともに、中心になって作業をしてほしい人を指名しておくとよいでしょう。片づけは手間も費用もかかります。相続税の控除の対象にもならず、労力もいります。前もって決めておくことで、子世代の争いを減らすことにつながるのです。

財産以外のことは「ライフメモ」を使おう

フネは、生前整理をしながら、終活を前向きに捉えるようになりました。

フネ:「私も年だから、いつどうなるかわからないねえ。葬儀とか、お墓とか、家の片づけの希望も遺言書に書いとくね」

早川:「遺言書はあくまでも財産についてしか効力がないんです。財産以外のことは、「ライフメモ未来編」などで伝えておくといいですよ」

ここからは「ライフメモ未来編」です。記録しておくことで、周りに自分の思いや希望を伝えることにつながります。何を書くかは自由で、これから始めたい趣味や、行きたい場所、会いたい人などについて思いを巡らすだけでも、生き方が前向きになります。

子世代も、親が亡くなってから、思い出や望みを聞いておけばよかったと後悔せずにすみます。また、親からいろいろな話を聞くことは、親孝行にもなります。書いておくと、親も家族も、片づけや相続などの手続きが楽になり、気持ちのうえでも幸せになります。

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これまでを記載するライフメモ

主な内容としては、家系図や交友リストを作成しておくといいでしょう。波平が亡くなったとき、磯野家では、四十九日の法要に呼ぶべき人も、相続人の範囲もわからなくて大変でした。家系図をつくっておけば、いざというときに慌てなくてすんだでしょう。

かかりつけの病院、医療や介護の方針や費用をどうするのかも書いておくといいでしょう。親が危篤になると、場合によっては医者から延命治療などの話をされることがあります。このような状態になったとき、親はどのような治療を望むのかを聞いておくだけでも、家族が判断しやすくなることがあります。

たとえ親が元気であっても、最期を迎えるときは、できるだけ自宅で過ごしたいのか、今の家に住み続けるのか、高齢者向けの住宅に入りたいのか、その際の費用はどうするのかなど、早めに話し合っておくのが理想です。葬儀やお墓の希望も書いておくといいでしょう。波平の場合、葬儀やお墓について、どんな希望があったのかを聞いていなかったので、すべて葬儀会社にお任せとなってしまいました。

たとえば、葬儀で流したい音楽や出席してもらいたい人、宗派などの形式、戒名、棺に入れてほしい物や予算など、具体的に書いておけば、家族は迷わずにすみます。

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