出口見えない欧州危機 スイスの辣腕バンカーが語る

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 --今後、プライベート・バンクの再編は?

決してまったくないとは申し上げられないが、今のところそうした再編はないと考えている。当社の規模は非常に経営しやすい規模だ。このような形で安定的に、独立を維持した形で経営していきたい。

--ロンバー・オディエは200年以上の長い歴史がある。長期間、企業として存続できた秘訣は何なのでしょうか?

フランス革命後に会社が設立され、これまで過去40回の危機を乗り越えている。われわれは常に最悪の事態の準備をしている。当社はパートナーシップという体制をとっており、パートナーは無限責任を負う。直近の利益というより、長期の持続性を経営上重視している。さらに、独立性もポイントだ。オンリーワンの専門家集団で、顧客の富のみをマネージする。われわれには債権者もいないし、株主もいない。投資銀行部門も存在しない。クライアントに仕える以外にない。それゆえ、利益相反も存在しない。

--パートナーシップ制度の弱点はないのでしょうか。

マイナス面よりプラス面のほうが大きいが、唯一難しいのは、新しいパートナーが加わった時に、その人が当社に合った人材なのか、また企業価値を高めてくれる人物で、信頼できる人物なのかが問われる。いまは、非常に優秀な人を雇用できる機会がかつてないほど増えている時代だ。

--御社のもう一つの特徴として、創業家による世襲という側面があります。

たしかに、当社には創業家が4家存在した。しかし、その子孫がパートナーになるという権利を持っているわけではない。私個人についていうと、祖父はロンバー・オディエ、大叔父は2人がパートナーになっているが、次の世代からパートナーは出ていない。私も当初当社に入ることを考えていなかった。パートナーになる権利や株式などは存在しないので、全員一致で選ばれた場合にのみ、パートナーになれる。

山田 徹也 東洋経済 記者

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やまだ てつや / Tetsuya Yamada

島根県出身。毎日新聞社長野支局を経て、東洋経済新報社入社。『金融ビジネス』『週刊東洋経済』各編集部などを経て、2019年1月から東洋経済オンライン編集部に所属。趣味はテニスとスキー、ミステリー、韓国映画、将棋。

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