社員に優しく、管理職に厳しい。山田氏が「2つの顔」を使い分け、「管理したがる上司」をなくそうとした狙いを、山田語録を通して探ってみたい。
プロ社員を育てるには「管理しない」が大前提
「知的レベルの低い人ほど、管理職になると『自分が偉くなった』と錯覚しやすい」と山田氏はよく話していた。
「そんなバカ管理職ほど、部下のあら探しを自分の『仕事』にしてしまうんや」。当然、「部下のあら探し」をする上司の下では、部下はやる気を失い、結果、部署全体でマイナス効果のほうが大きくなる。
そもそも同社の就業時間は、1日わずか7時間15分しかない。その貴重な就業時間を、管理職が部下を管理しあら探しに費やすようでは、時間のムダ。その結果、部署の生産性が下がることも甚だしい。
「その結果、会社全体での『稼ぎ損ね』は、どれだけになると思う? 会社のトップは本来、社員よりもその損害額のほうをこそ『管理』すべきや」
山田氏は常々、「部下というのは『自分は評価されていない』『上司が無能』『部署にチームワークがない』など、必ず『何かしら不満』をもっているものや」と話していた。
よって上司の仕事は、部下の不満につねに耳を傾け、できる範囲でそれらを少しでも減らすこと。それができれば、部署全体の生産性アップにつながる――。それが山田氏の持論だった。
自分たち平社員に対する管理職の接し方を、部下たちはしっかりと見ているものだ。「上司が本気で努力してくれる姿を見れば、真面目な日本人なら『自分たちもがんばろう』と、きっと考えるはずやろ?」
多くの企業では「管理主義」が広がり、上司からの指示がないと動けない「指示待ち社員」が増えている。山田氏が「管理するな!」と言い続けてきた理由は、それとは対照的な自分の頭で考えて動き、結果を検証できる「プロ社員」を1人でも多く育てたかったからだ。
「一度でも自発的に仕事に取り組む楽しさを知れば、あとは放っておいても会社のために頑張って働いてくれる」
つまり、山田氏が「2つの顔」を使い分けていたのは、「バカ管理職」を減らす一方で、自分で考えて動く「プロ社員」を増やし、結果として、会社の売り上げを増やすためだったのだ。
さて、あなたの会社の上司は「バカ管理職」だろうか? そして、あなた自身は「指示待ち社員」と「自分の頭で考えて動くプロ社員」のどちらだろうか?
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