40歳以上は要注意!失明につながる「緑内障」 自覚症状がないまま進行する眼病の危険度

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「近視は原発開放隅角緑内障の大きな危険因子です。加齢していくことや、生まれもった眼圧、遺伝は不可抗力ですが、近視は自分の努力でなんとかなります。近視の目の玉(眼球)は、極端にいうと前後に向かって楕円形になるため、目の奥の視神経に負荷がかかるのです。これは、緑内障のリスクを大きく高める要因です。

スマホのブルーライトは網膜に影響するものなので緑内障の直接的な原因にはなりませんが、近視を招く習慣はすべて間接的に原発開放隅角緑内障発症に影響します。喫煙が肺がんの原因になることや、コレステロールの高い人が心筋梗塞になりやすいのと同じです。

人類の目は適応キャパシティを超えている

新家 眞(あらいえ まこと)医学博士。公立学校共済組合関東中央病院 病院長。1974年東京大学医学部医学科卒業。2010年東京大学名誉教授。日本眼薬理学会理事長、日本緑内障学会理事長、日本眼科学会理事長等を歴任。専門は緑内障。緑内障の外来診療、手術などを行うと同時に、緑内障に関する臨床研究、基礎研究も行っている

人類は太古の昔よりずっと自然の中を動き回り、遠くの獲物を探し、暗くなったら眠る生活をしていました。ところが文明が進化するにつれ、人間の生活は複雑になります。本を読み始め、人工的な灯りにさらされ、日が暮れても明るい環境で過ごしています。そして今や、ブルーライトにもさらされるようになりました。人類の進化の過程を考えますと、目を取り巻く急激な環境の変化は、人類の目の適応キャパシティを完全に超えていると思います。しかし、だからといって本を読んだり勉強をしない訳にはいかないし、テレビも観るでしょう。PCはおろか、スマホを使わない暮らしはもはや不可能と言っていいでしょう。できるだけ近視にならないように心がけることが、現代人の課題だと思います。

最後に、視野異常のセルフチェックの方法の一つをご紹介します。テレビの放送終了後のザーッとした砂嵐のようなノイズ画面を片目ずつ見るという方法があります。どこかが明らかに他と違って見えたり、左右で見え方が明らかに異なることに気づいたら、できるだけすぐに検査に行きましょう。とはいえ、自覚症状がないのが緑内障ですので、たとえこの方法で特に異常をかんじなくても、40歳以上、あるいは強度近視の人は、眼科専門医のもとで緑内障の検査をすることをお勧めします」

島田 ゆかり ライター

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しまだゆかり / yukari shimada

月刊誌・企業広報誌などの編集を経て、フリーランスのライターに。寺社好きが高じ、お寺業界の様々なトレンド、裏事情などを取材、発信。ほか、女性のライフスタイルなどの企画・編集・執筆も手がける。

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