不動産屋の「イチオシ物件」に隠された真実 仲介会社が躍起になる「両手取引」の実態
この「囲い込み」問題には、とうとう国も動き出しました。国土交通省からの要請に基づき「レインズ」が今年1月から新たな機能を導入したのです。
「健全な市場」整備へ行政も動き出した
具体的には、先ほどの「専任媒介契約」および「専属専任媒介契約」によって登録された物件に関するレインズ登録情報について、「売主」が直接確認できるようになりました。
登録情報について、①公開中、②書面による購入申し込みあり、③売主都合で一時紹介停止中――といった3つの項目が追加され、依頼した「仲介会社」の都合でほかの「仲介会社」への紹介を拒むことのないようにチェックできることとなりました。
逆に言えば、それほど深刻な問題であったといえるでしょう。
こうした「両手取引」は法律上、問題のない正当な取引の仕組みです。たとえば「売主」の側に立ってみると、「買主」を一生懸命探してくれる「仲介会社」にこそ売却を依頼したいのも当然であり、それに対して手数料を支払うことは、自然のことです。特に、個人の物件所有者が売却を依頼する場合には、多くの購入希望者を持っているような「仲介会社」はとても魅力です。
つまり、「両手取引」は正しい情報開示の下ではなんら問題はないのです。
米国のように、「売主」の側に立つエージェントと、「買主」側に立つエージェントが明確に分かれている市場においても、「両手取引」は存在します。しかし、この場合にはその旨が取引の当事者に情報開示されています。そういう意味で、日本の不動産情報はまだ透明性が十分でなく、改善すべき課題が残っているといえるでしょう。
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