市況悪の逆風下での船出 ついに新日鉄住金が始動

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合併で巻き返し世界最強を目指す

新日鉄住金の統合効果は1500億円と発表されたが、グループ会社も含めればもっと出る、と言うのは市場関係者。会社側も上積みをしたいと意欲を見せるが、ポスコとの競争を考えると、増額は不可欠だ。

キーワードは「新会社のために何がベストか」。製鉄所にマイナスになることでも、新会社にプラスなら実施していく構えだ。もちろん、両社が培ってきたノウハウや取得特許を共有できる点は大きい。

すでに両社は、02年以来の提携関係にあり、03年にはステンレス事業を統合。両社の技術を結集し、スズを使い原料費を抑制したFWシリーズという戦略製品も生み出している。鋳造ロールや建材薄板事業も統合するなど、提携は進んでいた。

製鉄所間の連携もすでに進んでいた。特に近い製鉄所同士の連携が進む。同じ北九州市にある八幡と小倉。八幡は戸畑地区と八幡地区に分かれ14・9平方キロメートルと東京都千代田区(11・6平方キロメートル)を上回る巨大な面積を誇る製鉄所。住金の小倉は、この戸畑から3キロメートルと八幡・戸畑間6キロメートルより近い。昨年11月に戸畑から天然ガスのパイプラインがつながり、小倉では重油から天然ガスに切り替え、省エネが進む。

君津と鹿島も近く、特に上工程でのノウハウの共有化で成果を上げる。和歌山から広畑へ鉄源供給が行われているが納期短縮や対象鋼種を拡大。修繕要員も共有できそうだ。

車輪とレールの連携も注目。住金が国内市場を独占する鉄道用車輪と、新日鉄が世界に誇るレール。大阪・八幡間は遠いが、磨耗しにくい製品の共同開発など期待が膨らむ。

合併新会社の取り組みの一つが「研究開発力・スピードの強化」。

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