日本坂トンネルを抜けた列車は、瀬戸川を渡り、焼津で在来線をまたいで、大井川を渡る。「箱根八里は馬でも越すが、越すに越されぬ大井川」と言われた大井川だが、上流に多数のダムが建設された今はすっかり水量が減り、河原が果てしなく広がっている。
大井川の先にあるのは、静岡県最大の茶の生産地として有名な牧之原台地だ。次に突入する第一高尾山トンネルは、長さ1755m。このトンネルの真上に、静岡空港、通称富士山静岡空港の滑走路がある。
静岡空港は、2009(平成21)年に開港した空港だ。富士山を望む牧之原台地の上にあり、中国9都市を含む内外15の都市に定期便が就航している。開港当初は、利用者が需要予測の半分以下に留まるなど苦戦したが、静岡県が着陸料の一定期間免除など積極的な就航支援を行っているほか、富士山の世界文化遺産登録も追い風になり、近年は中国からの旅行者を中心に利用客が増加している。
地元は期待、空港直結駅
この空港と東海道新幹線をめぐって議論になっているのが、静岡空港新駅問題だ。静岡県は空港に直結する新幹線新駅の設置を目指しており、平成28(2016)年度には新駅の測量・設計・調査費用として10億円を予算に計上した。
東海道新幹線と静岡空港が直結すれば、東京、名古屋、大阪いずれの都市へもアクセスの良い空港が生まれることになり、利便性が大きく向上する、首都圏にある空港の補完や災害時の空輸拠点としても価値が高まり国益にかなう……というのが静岡県の説明だ。
2016年2月には、有識者による静岡県の技術検討委員会が、県が提示した設置案を「技術的に可能」と判断している。
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