新幹線開業の陰に「JR北海道」大幅減便の犠牲 道内各地に広がる「地域切り捨て」の恨み節
「新幹線もいいけれど、これでは地方切り捨てだ!」。
北海道新幹線が華々しく開業して2週間余り経つが、道内各地からはこんな批判の声が上がっている。それもそのはず、北海道新幹線が開業した3月26日に実施されたダイヤ改正により、JR北海道の在来線普通列車が大幅に減便されたからだ。
減便理由としては、非電化区間を走る普通列車の主力車両「キハ40系気動車」が老朽化したことが大きい。さらに、同車両の使用されていない路線でも、全体の車両配置の都合上ダイヤが削減されている。日本で最も東を走る根室本線の釧路〜根室間(花咲線)も減便対象に含まれた。従来の21本中8本が運行区間見直しもしくは全区間廃止となった。
根室駅を発着する列車は早朝のいわゆる“時刻表に載っていない”通学用列車を含めて上下線で3本が廃止されている。「通学・通院に大きく影響する列車は確保されたので、最悪の事態は免れた」(根室市)とは言うものの、地域の足が細ってしまったのは間違いない。
札幌への日帰りが困難になった…
特に影響が大きいのは、これまで釧路駅で札幌発の特急スーパーおおぞら9号と接続し、0時18分根室着だった列車が、厚岸(あっけし)までの区間運転に変更されたことだ。従来であれば、始発の花咲線を利用すれば、日帰りでも札幌に約5時間は滞在できた。しかし、スーパーおおぞら9号との接続がなくなったため、滞在時間はせいぜい1時間半程度に大幅短縮されてしまった。
根室市に暮らす40代の女性は「入院している親戚のお見舞いによく札幌に行っているけれど、これからは日帰りができなくなる。とは言え、一泊するほどの余裕もないし……」と途方にくれる。
仕事でしばしば札幌を訪れるという50代の男性も「日帰りできないと札幌との距離感がだいぶ変わりますよね。飛行機を使う手もあるけれど、空港に行くのにも時間がかかる。学生の帰省じゃないし、夜行バスを使うのも無理ですしね(笑)」と肩を落とす。
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