北海道新幹線、貸付料はJR東日本が実質救済 北海道は1.1億円、東日本が22億円を支払う

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年間48億円の損失が見込まれている北海道新幹線(撮影:今井康一)

3月26日、ついに北海道新幹線が開業した!

整備新幹線と呼ばれる北海道、東北(盛岡~新青森間)、北陸、九州の各新幹線は開業後、営業を受け持つJR旅客会社が30年にわたって貸付料を支払う。支払い先は独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構(鉄道・運輸機構)である。

年額の貸付料は開業日の前日に公表される習わしとなっており、北海道新幹線については3月25日に1億1400万円と発表された。東北新幹線は149億3000万円、北陸新幹線のうちJR東日本分の高崎~上越妙高間は340億円、JR西日本分の上越妙高~金沢間は80億円、九州新幹線は102億円だ。

貸付料は受益の範囲を限度として定められた。算出方法は「新幹線を整備した場合の収益-新幹線を整備しなかった場合の収益」であり、根底には「新幹線は並行在来線と比較してより大きな収益が得られる」という考え方が存在する。実際にこれまで開業した整備新幹線は利益を生み出す存在であった。

貸付料はJR東日本も負担

ところが、新青森~新函館北斗間が本日開業した北海道新幹線の雲行きは怪しい。営業を担当するJR北海道が2015(平成27)年12月9日に発表した「北海道新幹線の収支想定」によると、北海道新幹線は2016(平成28)年度から2018(平成30)年度までの3カ年、平均で年間48億円の損失が生じるというからだ。

収支の内訳は111億円の収入に対して支出は160億円で、このままでは損失は49億円となるところ、1億円未満を四捨五入して48億円となるのだそうだ。

北海道新幹線で営業を実施しても利益が得られないのであれば、受益の範囲を限度とした貸付料を設定することはできないと考えるべきであろう。だが、貸付料は公表された通り年額1億1400万円となった。さらに、JR東日本も受益分として年額22億円を支払う。

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