北海道新幹線、貸付料はJR東日本が実質救済 北海道は1.1億円、東日本が22億円を支払う

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話を戻すと、JR北海道が予測した貸付料は、管理費を除いた支出をもとに算定されているようだ。実際に求めてみると、18億6400万円から3億円を減じた15億6400万円となるところ、9億円となっている。貸付料は30年間分の収益の平均値をもとに決められるから、2014(平成26)年度の海峡線や江差線の収支が例外的に悪かったか、またはJR北海道は、今後北海道新幹線の収支は悪化すると予測しているかのどちらかであろう。残念ながら、筆者は後者ではないかと考える。

長々と前置きを記したところで本題に入ろう。実を言うと、JR北海道が公表した「北海道新幹線の収支想定」は異例の存在だ。これまで開業した新幹線でこのような生々しい資料が発表された例は筆者の知る限り存在しない。

なぜJR北海道は収支想定を明らかにしたのであろうか。一つは同社の窮状を世に知らしめるためであろう。そして、JR北海道は決して認めないであろうが、JR貨物への強い不満が示されていると筆者は考える。

「貨物共用」という重いコスト

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青函トンネル内を走る貨物列車。北海道新幹線の開業で、この区間は新幹線と在来線の共用区間となった(写真:つぼ/PIXTA)

「北海道新幹線の収支想定」でJR北海道がJR貨物について触れている項目は2カ所だ。一つは北海道新幹線固有のコストの内訳として示された「貨物共用走行」であり、7億円と記されている。

「貨物共用走行」とは、「3線軌(筆者注、3本のレールを並べ、新幹線と在来線双方の軌間を併用する軌道)による複雑な設備の維持コスト、及び共用走行のため保守間合いが短くなり、作業を短時間で行うことに伴い割高となるコスト」であるという。

貸付料を鉄道・運輸機構に支払いつつ、鉄道事業法上は線路の所有者として営業を行うJR北海道に対し、JR北海道の線路を使用して営業を行うJR貨物は、本来であれば「貨物共用走行」の7億円のうち、すべてまたは一部を線路使用料に上乗せして負担すべきであろう。

けれども、国鉄の分割民営化時にJR貨物を支援するためにJR旅客会社は線路使用料を安く設定するように指導されており、しかもその措置はほぼ恒久的なものとなった。したがって、7億円はJR北海道が負担せざるを得ない。

もう一つは貸付料という項目そのものだ。貸付料は今後新たに建設される整備新幹線の工事費のほか、JR貨物への調整金にも充当される。調整金とはJR貨物が第三セクター鉄道等に対して支払う線路使用料と、JR旅客会社に対して支払う線路使用料との差額を鉄道・運輸機構からJR貨物に対して交付するものを指す。

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