新幹線開業の陰に「JR北海道」大幅減便の犠牲 道内各地に広がる「地域切り捨て」の恨み節
一方で、花咲線は利用者が極めて少ないというのも厳然たる事実。JR北海道が公開した平成26(2014)年度の路線別収支によれば、札幌圏を含めて全路線が赤字(管理費含む)となっている。さらに2016年3月末に公開した事業計画では、今2016年度の経常損益は過去最大の175億円の赤字となり、年度末には45億円もの資金不足の見込みだという。このままいけば、経営破綻を招きかねない惨憺たる状況で、赤字路線の維持は極めて難しくなってくる。
JR北海道は、「今回のダイヤ削減は決して廃止ありきではなく、地方切り捨てでもない。安全を絶対に確保したうえで、現状の輸送体制を維持するためのもの」と説明する。
「キハ40系気動車の老朽化に関しては、過去の計画性のなさを批判されれば反論はできない。ただ、それでも無理をして運行を続ければ安全を損なうことになる。過去の反省を踏まえて立て直しを進めていく中で、今回の減便はギリギリの決断だ」と、JR北海道側は理解を求める。
不祥事が続いていた頃のJR北海道では、輸送量の減少に合わせて”安全コストを切り詰めて”の運行が行われていたという側面もある。だが、これは本来ならば許されることではない。そうした状況下で老朽化の進んだキハ40系の継続使用は難しいと判断したというわけだ。
自助努力だけでは厳しい状況に
もちろん、キハ40系の老朽化と廃車にただ手を拱いているわけではない。2015年6月にはキハ40系入れ替えを目的とした新型一般気動車の試作車投入が発表された。それによれば、平成29(2017)年度から2冬期間、試作車の検証を行ったうえで、平成31(2019)年度以降に本格運行していくという。
「それでも当社の状況が改善されるわけではありません。新幹線も含めて絶対に安全は最優先で確保していかなければいけない。ただ、経営状況は正直大変厳しい。冬季の除雪も含め、利用者が極めて少ない路線であっても維持するためには莫大な維持コストがかかります。もちろんこれまでの取り組みも含めて、批判されるのは当然。それでも、当社の自助努力だけではどうにもならないところに来ているのも事実です」とJR北海道側は嘆息する。
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