「パナマ文書」の衝撃波は、日本にも到達する

メガトン級リークの影響は甚大だ

このスキームで何が行われたかを考えてみると、ロシア銀行がサンダルウッド社を介してプーチンないしはプーチン周辺の人物に2億ドルを渡したということだろう。サンダルウッド社は一切返済をせず、Bank Rossiyaは2億ドルを不良債権として償却するのである。これはロシアに限らず、バブル期の邦銀を含め、金融機関が贈賄や裏金作りのためにやる違法スキームだ。

複数の国をまたいでこうした取引を行うのは、各国ごとに行われる金融取引に対する監視を分断するためで、一種のマネーロンダリング(資金洗浄)である。そもそも英領ヴァージン諸島の金融規制はきわめてゆるく、キプロスは行くとよく分かるが、ロシア人とロシア語の看板が溢れるロシア・マネーの中継基地である。

プーチンの周辺にいる富豪たち

プーチンの周辺にはプーチンとの個人的つながりをテコに大型公共工事を受注したり、石油利権や国営企業の株式を与えられたりして、能力とは関係なく富豪になった人々が数多くいる。

たとえば少年時代のプーチンとサンクトペテルブルクで一緒に柔道をやったロテンベルク兄弟(推定個人資産23億ドル)はガスプロム関連の建設工事やソチ五輪関連の建設工事を受注し、東ドイツのKGB支部からプーチンが帰国した1990年頃に知り合ったゲンナジー・チムチェンコ(推定個人資産153億ドル)はエネルギーや運輸業に投資する「ボルガ・グループ」を率い、プーチンの娘カテリーナは夫とともに株式だけで20億ドル相当を所有している。

プーチン自身の年収は公式には14万ドル程度とされているが、ウィキリークスはプーチンの個人資産は400億ドル以上だと暴露し、ブルームバーグは400億~700億ドルと報じている。こうした金や資産のやり取りの少なからぬ部分がタックスヘイブンを介して行われているはずだ。

パナマ文書ではその他、アゼルバイジャンのアリエフ大統領の親族が金鉱の権利やロンドンの不動産をパナマの会社を通じて保有し、パキスタンのシャリフ首相の子が英領ヴァージン諸島の会社を通じてロンドンの不動産を所有していること、中国の習近平主席の義兄や中国共産党幹部の親族が英領ヴァージン諸島などの会社の株主や役員になっていることが明らかになった。

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