「パナマ文書」の衝撃波は、日本にも到達する

メガトン級リークの影響は甚大だ

これらは合法なタックスヘイブンの利用方法だが、当局の監視がほとんど無く、税金も払わなくていいタックスヘイブンでは、いくらでも悪いことができる。

たとえばコンゴ共和国は、対外債務の不履行を引き起こし、原油タンカーを差し押さえられる可能性があった1990~2000年代に、原油の輸出の実態を隠して差し押さえを逃れ、同時に原油代金の一部をドニ・サス=ンゲソ大統領周辺の人間が懐に入れるために、コンゴやバミューダにある4つのペーパーカンパニーを介して原油を輸出していた(この事実は2005年に米国のヘッジファンドとの訴訟で英国の裁判所に認定された)。

タックスヘイブンを最も大規模に悪用したのは1991年に破たんしたBCCI(Bank of Credit and Commerce International)だろう。同行は、アブダビのザーイド首長の資金援助を受けたパキスタン人銀行家アガ・ハサン・アベディによって設立され、タックスヘイブンであるルクセンブルクに本店を置き、中近東を中心に世界78カ国に400以上の拠点を有して活動していた。スイスやケイマン諸島の支店でパナマの独裁者ノリエガ将軍、コロンビアの麻薬カルテル、イラクのサダム・フセイン大統領、リベリアの独裁者サミュエル・ドゥ大統領などのマネーロンダリングや、CIAによる海外への工作資金の支払い、武器や傭兵の仲介など、ありとあらゆる悪事に手を染めていた。

プーチンのロシアで行われてきたこと

ロシアのプーチン大統領は、「パナマ文書」に記載がある友人について、不正行為には関与していないと反論した。写真はサンクトペテルブルクでの代表撮影(2016年 ロイター)

パナマ文書ではロシアのプーチン大統領周辺で行われている20億ドル(約2160億円)に上る不透明な金融取引が注目を集めている。そのひとつは2011年2月に、タックスヘイブンである英領ヴァージン諸島にあるペーパーカンパニー、サンダルウッド・コンチネンタル社(Sandalwood Continental)が、キプロスにあるペーパーカンパニーに2億ドルの融資をし、元利金を受け取る権利を英領ヴァージン諸島にあるペーパーカンパニーにわずか1ドルで譲渡し、さらにそれがパナマにあるインターナショナル・メディア・オーバーシーズ(International Media Overseas)にやはり1ドルで譲渡された取引だ。

サンダルウッド社を作ったのは、プーチン大統領の「現金出納係」と呼ばれる人物が会長を務めるロシア銀行(Bank Rossiya/本店・サンクトペテルブルク)であり、インターナショナル・メディア・オーバーシーズはプーチンの長女の名付け親で著名チェリストのセルゲイ・ロルドゥギンだ(注:「セルゲイ・ロルドゥギンが秘密裏に運用する少なくとも5つのオフショアがパナマ文書に見つかった。それらは大半が意味のない名前がついている――ソネット・オーバーシーズ、インターナショナル・メディア・オーバーシーズ、サンバーン、レイター、サンダルウッド・コンチネンタル社だ」ガーディアン紙記事より抜粋)。

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