41. 「ドーマン」は縦4本、横5本の線が交わる格子型のマークで、陰陽師のにちなむという
42. この格子は多くの目で魔物を見張る意味をもつ
43. 潜水を始める直前には、潮を口に含み船や磯桶の縁を叩きながら「チュッチュッ」「ツヤツヤ」などネズミ鳴きと呼ばれる呪文をとなえる。これも魔除けのおまじない
44. 潜水中、海女たちは魔物にでくわすことがあるという言い伝えがある。海の中で自分と同じような海女が現れ誘いかけてくるというトモカヅキもそのひとつ
45. 他にサンショビラシ(チクチク刺す生物)、シリコボシ(お尻から生き肝を抜く化け物)、ボーシン(船幽霊)、ヒキモーレン(海の亡霊)などの魔物が言い伝えられている
46. 海女にとって実際の作業中の脅威は岩礁の穴や海底に潜んでいるウツボやオコゼ、エイ、毒クラゲ
47. 毎年、元旦の夜明け前に海に入り若潮を浴び、初日の出を拝んで1年の豊漁と安全を祈願する地域もある
48. 夏の土用の頃には「ゴサイ(五斎または御祭)」と呼ばれる海女の休漁日がある。「海女の日待ち」ともいう
タブーや風習、さまざまな決まりごと
49. 志摩の海女にとってゴサイ日に海に出るのはタブー。伊雑宮や正福寺にお参りする風習となっている
50. 海の資源を絶やさないため、海女には潜水の日数制限、回数制限、時間制限などさまざまな決まりごとがある
51. とくに「寸足らず」といわれる小さなアワビやサザエをとることは厳しく禁じられる
52. 三重県漁業調整規則では、アワビの産卵期にあたる「9月15日から12月31日までの期間はアワビを採捕してはならない」と定めている
53. また三重県漁業調整規則で「殻長10.6㎝以下のアワビは採捕してはならない」
54. アワビは殻長10.6㎝に成長するまで約4年かかる
55. 海女はアワビのサイズをはかるための道具「スンボウ(寸棒)」や「スンイタ(寸板)」を持って漁に出る
56. 志摩の海女は10.6㎝の切れ込みのあるスンボウを使い、海中でアワビにあてて大きさを判断している
57. 海女が漁に出る日は「口明け」と呼ばれる
58. 出漁日はその地区の海女が一斉に出られる日に決められるという決まりがあり、海が荒れた日や地区に不幸があった日は“口を明けない”
59. その年の最初の漁のことも「口明け」という
60. アワビは1㎏あたり5000円前後の値がつく
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