個人投資家にも、マイナス金利は不評だった 緊急アンケート調査で分かったこと

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ただ、結論から先に言えば、調査対象を株式個人投資家に絞ってもマイナス金利政策は「ソッポを向かれている」ことが分かった。銀行収益の悪化による株安懸念や、そもそも日銀が政策の発動タイミングを誤ったとの見方も含め、株式個人投資家にもネガティブな見方が多くなっているようだ。

今回紹介する「緊急アンケート調査」は2016年2月中旬に行った「金融行動に関するアンケート(2016年度版)」というインターネット調査である(文末注)。

調査の対象者は「株式投資」もしくは「その他の投資信託(株式型投信、バランス型投信など)」の運用を行っている20歳以上の男女(日本人)。事前調査を約2万人に対して実施し、その中から条件を満たす1,234人を抽出し、本調査に回答してもらうという2段階の方式を採用。

各種金融資産の保有状況だけでなく「降水確率何%で傘を持っていくか?」など、リスク回避度といった行動経済学的なパラメーターも同時に調査している。

今回は日銀のマイナス金利政策の導入に合わせて、「マイナス金利は望ましい」という問いに対して「あてはまる」「ややあてはまる」「どちらでもない」「あまりあてはまらない」「あてはまらない」の5段階で回答する設問を用意した。

この「マイナス金利は望ましい」という設問の回答を見ると、「どちらでもない」(37.2%)がもっとも多かったが、「あてはまらない」(18.9%)と「あまりあてはまらない」(30.8%)を合わせると49.7%となった。

金融緩和のメリットを享受しやすい株式個人投資家でも半数がマイナス金利に否定的な見方をしたことの意味は大きい。株式個人投資家は、日銀が想定する「実質金利の低下」による個人消費や設備投資の増加という経済の好循環シナリオや、金利低下によってリスク資産に資金が向かう「ポートフォリオ・リバランス効果」という、株式にとってポジティブな影響をあまり期待していない可能性が高い。

高齢になるほどマイナス金利に否定的

次に、年齢層別のマイナス金利に対する見方の違いを見ておきたい。

「マイナス金利は望ましい」という設問に対し、「あてはまる」もしくは「ややあてはまる」と回答した人の割合(「マイナス金利は望ましい」)および、「あてはまらない」もしくは「あまりあてはまらない」と回答した人の割合(「マイナス金利は望ましくない」)を年齢層毎に調べた。

高齢層ほど「マイナス金利は望ましい」という割合が減り、逆に「望ましくない」という割合が増える。高齢になるにつれ、老後資金の運用などの将来キャッシュフローが確定していくために「資産が目減りしていく」というマイナス金利政策の負の側面が強く意識されていくのかもしれない。

日本では、退職金の運用などを行う高齢層の株式保有比率が高いことが知られている。これらの層がマイナス金利に対してネガティブな見方をしているということは、ポートフォリオ・リバランス効果に対してあまり期待ができないかもしれない。

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