ユニクロ"違法工場"改善はどこまで進んだか 「下請けのことは関係ない」では済まされない
香港のNGO「SACOM(Students & Scholars Against Corporate Misbehaviour)」が2015年1月、中国にあるユニクロの下請け工場2社が、労働者を劣悪な環境で働かせているとする報告書を公表し、大きな反響を呼んだ。ユニクロを展開するファーストリテイリング(ファストリ)社は、報告書の内容が一部事実であることを認め、改善を進めるとの方針をすぐさま公表した。
あれから1年以上が経過して、改善はどのくらい進んだのだろうか。SACOMのソフィー・チャンさんが今年3月に来日し、東京・御茶ノ水の明治大学で追跡調査の結果を報告した。
「残業しないと生活できない」
SACOMは2014年7月から11月にかけて、中国にある2つのユニクロの下請け工場を「潜入調査」。労働者として働きながら、就労時間や賃金などを調べた。
報告書では、月130時間ほどの時間外労働の常態化や、ミスをすると罰金が課せられる「違法」な労働環境があったと指摘している。また、染色過程では、40度前後の高温や悪臭の中での作業を強いられ、化学薬品から健康を守るための手立てもほとんど取られていなかったとしている。
報告書を受けて、改善を約束したファストリ社は2015年7月、HP上で進捗状況を発表。問題となった2工場について、人員増や通気性改善の工事、安全研修などの対策を打ったことを報告した。