改装開業は11月21日。阪急うめだ本店が不況に挑む秘策、「情報発信型」百貨店とは?

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うめだ本店の改装開業でも、他店で展開してきたこうした情報発信型のアプローチを随所に盛り込む。全24カ所ある各フロアのイベントスペースや9階フロアの情報発信空間「祝祭広場」では、あるブランドの背景にある歴史や哲学に関する展示を行ったり、洋服を通常の陳列ではなくファッションショー形式で提示するなど、付加価値を持たせた販売を展開する予定だ。

増床により総売り場面積は約2万平方メートル増の8万平方メートルとなるが、物販のエリアは従来の5万4000平方メートルから6万4000平方メートルへと1万平方メートルしか増えていない。代わりに、こうした情報発信のスペースを1万6000平方メートルと、従来の2.3倍に大幅増床したのが、今回の改装の肝だ。「6万平方メートルを超えると、百貨店として自社で品ぞろえをすることはできなくなる。他社のように、テナントを入れて埋めることになる。われわれはその代わりに、モノではなく情報を売る空間を1万6000平方メートル取った。今回の改装が成功するかは、こうした価値をいかにお客様に伝えていけるかどうかで決まる」(椙岡会長)。

東の伊勢丹と並ぶ、業界の横綱が挑む本丸大改装。その結果は、15年連続のマイナス成長と、苦境に喘ぐ業界の今後の方向性を占ううえでも、重要な意味を持つ。「30年は持ちこたえられるコンセプトのつもりで作った」と椙岡会長が語る“自信作”の成否に、業界中の注目が集まる。


(写真中央が椙岡会長、奥が内山店長)

(桑原 幸作 =東洋経済オンライン)

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