六本木で爆売れ!福島屋「おむすび」の秘密 創業以来40年黒字、「異色スーパー」の哲学 

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他、無着色・無添加・無漂白のたらこや、昆布、藻塩だけで握ったおむすびなども揃えている。

握りたて、しかも高コスパ!

「並べた途端に売り切れる。つまり、店頭にある時はいつも握りたてだということ。そこもよいのでは」と、田中さんは笑う。ちなみに2006年にオープンしたオフィス街の「リラック大崎店」もおむすびが人気で1日300個売れるそうだが、六本木店は1日500~600個も売れる。

聞いただけで腱鞘炎になりそうだが、驚くことに作るのは1人。交代はするが、1人の担当者が4~5時間ひたすら握り続けるそうだ。コメがつぶれないよう、「担当者には4~5回握って三角形を作るよう指導している」(田中さん)という。

コスパの良さも大きなポイントだ。一個約130gで143円(税抜)。コンビニのおむすびが約70~80gで100円強なので、それと比べると大きめで価格も良心的だろう。しかも素材厳選の握りたてとなれば、連日おにぎりが爆売れするのも納得だ。

試行錯誤の末、スタンスを変えず勝負

手作りのおむすびを提供し始めたのは20年以上も前だ。創業者の福島徹会長(当時社長)が、「コンビニのおにぎりを子どもの遠足や運動会に持たせるよりも、お母さんが手で握ったほうが愛情を感じてもらえる」と思ったことがきっかけだという。この頃からほかの惣菜も自家製にこだわるようになっていったそうで、今では、店頭に並ぶ惣菜の80%がオリジナルブランドとなっている。

全店で大人気の「五ノ神おはぎ」、「薪石窯クッキー」「自然栽培 切干大根」。素朴な味わいが魅力だ

だが、基本的に奇をてらったものはない。たとえばオリジナル商品の中でよく売れるのが、火・木・土限定の「五ノ神おはぎ」(六本木店は2個入、343円税抜)。

昼過ぎには売り切れ、お彼岸には全店で1トン作るという定番ヒット商品だ。六本木店でもおむすびの次に人気があるが、とにかくあんこが美味。北海道の朱毬小豆、精製度の低い粗糖、塩のみで仕上げており、控えめな甘さが後をひく。

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