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六本木のアークヒルズサウスタワー地下1階に、「おむすび」が飛ぶように売れる店がある。並べるそばからすぐ売り切れるので、スタッフは朝から晩までひたすら握り続けるという。オフィス街なのでランチ需要があるとはいえ、コメ離れと言われ久しい日本の大都会で、なぜおむすびが爆売れしているのだろうか。
しかも、販売しているのは、意外なことに弁当屋でもおむすび専門店でもない。とあるローカルスーパーなのである。その名も、「福島屋」。東京都羽村市に本店を構える地域密着型スーパーだ。
熱狂的ファンもつくローカルスーパー
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年商約52億円、創業以来44年以上黒字続きという実績もすばらしいが、利用者からの愛されぶりもスゴイ。実は、羽村市で暮らす筆者の友人が常連なのだが、お買い物トークになると、「福島屋はすべてのものが美味しくて、店内にいるだけでも楽しいし、ちょっと高いけどついつい買っちゃうの!」と、いつも興奮ぎみに話してくれる。中には彼女のような地元在住者に限らず、遠方から足を運ぶ熱狂的ファンもいるそうだ。
客を虜にしているのは、「安心安全」や「美味しさ」にこだわった品揃えだ。無施肥無農薬で育てた自然栽培の野菜や果物を始め、全国を歩き周り見つけた絶品や、生産者と作ったオリジナル商品など、大手スーパーでは見かけないモノがズラリと並んでいる。
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清潔な店内に気遣い満点の接客、独自の売り場改善法「グラフィック・ワークショップ」、「安売りしない、チラシはまかない」といった販促ポリシー―近頃は各方面からこうした経営手法も注目されており、全国から視察者が訪れ、スーパー再建や地域おこしの依頼などにも応えている。
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