サンフレッチェ「新スタジアム」はどうなるか

渦中の久保允誉会長に独占インタビュー

そこで3月3日に独自計画を公表する、ということを2月10日にリリースしたんですよ。そうしたら作業部会が2月19日に突如記者会見を開き、みなと公園に180億円で建設するという計画を公表した。しかも、われわれが希望する広島市民球場跡地だと、建設費は260億円もかかると。そんなバカなと思って180億円の根拠を徹底的に検証する一方で、市民球場跡地に建設した場合の試算も、専門家の力を借りて出しました。

県・市提案候補地のアクセスは1時間弱

アクセスのよい町中にスタジアムがあるとファンにとってはありがたい話だ

――結果、みなと公園ではダメだと。

みなと公園は広島市の中心部から6~7㎞離れた港湾地区にあります。広島駅前から出ている路面電車で行けますが、速度は遅いし信号にも頻繁にひっかかるので、広島市中心部からは1時間以上かかります。路線バスも出ていますが、所要時間は似たようなものです。広島駅前からシャトルバスを走らせることを想定しているようですが、みなと公園周辺の道路は今でも渋滞の名所です。だから港湾地区の物流業者が加盟している、広島みなと振興会も反対しています。広島市民球場跡地なら市の中心部で、広島駅前から路面電車で10分程度、徒歩でも20分圏内です。

――現在のエディオンスタジアムも市の中心部からは1時間弱かかりますね。みなと公園では、今と変わらないと。みなと公園案の収支計画にも疑問を持っておられますね。

そこがもっとも問題です。県・市は180億円で3万人収容のスタジアムが作れると言っているようですが、180億円では出来ないというのがわれわれの結論です。みなと公園地区は埋め立て地で地盤が弱いからです。

土壌汚染もあり、広島みなと振興会がゼネコンに頼んで試算してもらったところ、土壌対策だけで134億円かかるという結果でした。180億円の中には40億円しか盛り込まれておらず、実際には建設費は280億円以上になる可能性があります。百歩譲って180億円で収まったとしても、われわれに求めてくるであろうスタジアム使用料は年間5億円を超えます。そんな負担をしたら赤字になってしまいます。

――どういう計算になるのでしょうか。

県・市は資金計画を明らかにしていないので、マツダスタジアムを建設したときの調達を参考に試算しました。マツダスタジアムは底地の買収費用と上物の建築費で総額145億円かかっています。市の税金で23億円、県の税金で11.5億円、地元財界の寄付が20億円、個人の寄付が6億円で、残る84億円を市債で賄っています。球場の所有権は市ですので、球場使用料の名目で広島東洋カープは毎年7.5億円市に支払っており、これが市債の償還原資になっています。

そこで、市と県からの税金投入額と、地元財界の寄付をマツダスタジアムと同額として、TOTO助成金を30億円。これは作業部会の資料通りです。個人の寄付を10億円とすると、残りはマツダスタジアムとほぼ同額の85億円です。この分を30年償還の市債での調達だとすると、償還金額は1年あたり3.4億円。このほかに維持費が1.7億円かかりますから、われわれに使用料として請求されるべき金額は5.1億円です。

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