サンフレッチェ「新スタジアム」はどうなるか 渦中の久保允誉会長に独占インタビュー

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――新スタジアムになると入場者数が増えて収入も増える前提でしょう。

アクセスが今と大して変わらないみなと公園では、12.5%アップが限度ですよ。それは作業部会の計画でもそうなっています。今われわれが払っているスタジアム賃料は1億円、それで営業利益は1.3億円です。収入は5000万円~6000万円しか増えないのに賃料が5倍になったら、少なくとも3億円弱の営業赤字になってしまいます。

――つまり、85億円の市債の償還債務を実質的にサンフレッチェが負担した上で、税金を34.5億円使うスキームだということですね。

そうです。でも、われわれの案なら税金には頼らずスタジアムを作れます。県・市案はなぜか収容人数を3万人にしていますが、国際大会を誘致することを考えても2.5万人で十分です。県・市は市民球場跡地だと公園法の規制を受けて高さ制限にひっかかるからピッチを地下にすべく、かなり掘らないとダメだと言っていますが、掘らずに出来ますから、建築費で125億円、周辺整備で15億円の合計140億円。土壌改良をせずに済むということもあり、県・市案より40億円安く出来ます。

――資金調達はどういう構成になりますか。

まずエディオンと私個人が30億円提供します。この他にTOTOの助成金が35億円、地元財界の寄付で20億円、個人のカンパで10億円、残る45億円はマツダスタジアムのスキームと同様に、市に市債で調達していただければ、その分の償還原資は負担します。45億円でしたら、30年償還なら1年あたり1.9億円で済みます。完成したスタジアムの所有権はマツダスタジアムと同様に市とし、市債償還原資1.9億円、1.7億円の維持管理費、それに底地を所有する国に支払う地代8000万円の合計4.4億円を、使用料として市に支払う。これなら税金投入の必要はありません。

私を含めた4者会談を提案している

――賃料が現状の4倍以上になって大丈夫ですか。

市民球場跡地なら4割は動員数を増やせます。それだけで単純に2億円ほどの増収になります。今はスタジアムまで行くのに広島中心部から交通費が片道で500円くらいかかるので、チケットはリーグ最安値の1600円に抑えていますが、広島駅から徒歩で行ける市民球場跡地であれば、ほかのチームなみに値上げしても、理解は得られると思っています。

――行政側の反応はどうでしょうか。

のらりくらりです。3月3日の独自案公表と共に、私は県、市、商工会議所宛に、私を含めた4者でのトップ会談を提案しています。その後、作業部会のメンバーを名乗る人たちが突然弊社を訪れたそうで、私は会っていませんが事業部長が応対をしたそうですが、結局作業部会としては協議会が出した結論は譲れないの一点張りで、議論は平行線をたどってしまったそうです。

――協議会が出した結論というのがみなと公園案ということですね。でも協議会には御社の社長や県サッカー協会の幹部も参加していましたよね。

そうです。でも協議会は最初から露骨に市民球場跡地案を潰し、みなと公園案に誘導しようとしていたそうで、弊社の社長は憤慨していました。毎回の議事録すら、残していないと言って公開していません。

――確かに協議会が公表した取りまとめ案は、みなと公園案を推す内容で、市民球場跡地を推す声もあるということが併記されている内容でした。もっとも、市側は合意済みのことを蒸し返していると考えているようですが。

協議会の委員は全部で11人でしたが、弊社社長と県サッカー協会の幹部2人の合計3人が署名を拒否したんですよ。こちらの主張が無視されている内容の案に署名なんかできません。そうしたら、11人全員から署名を取るのをやめて、取りまとめ案として発表してしまいました。

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