サンフレッチェ「新スタジアム」はどうなるか

渦中の久保允誉会長に独占インタビュー

――これ以上作業部会と話をしていてもらちがあかないと。

そうです。3月下旬に県、市、商工会議所の3者で会談し、結論を出してしまう予定だったみたいですが、とりあえずそれは阻止出来たようです。4者会談に応じてもらえるメドは立っていません。

――市としては比較検討したいから、独自案の根拠の開示を求めたのに、サンフレッチェ側が応じないのだと言っています。

こちらの案を潰すためだけに使われるのではたまりませんから、どう使うつもりなのか問い合わせているのに、先方がそれに答えない状況です。

経営を考えると「みなと公園」は使えない

――みなと公園に決まったら?

私はチーム運営会社のトップとしてだけでなく、メインスポンサーであるエディオンの代表としても経営責任を負っています。赤字になるとわかっていてみなと公園を使うわけにはいきません。エディオンスタジアムを使い続けながら打開策を考えなければいけないと思っています。

――行政はマツダスタジアム建設に当たってはカープの希望を徹底的に聞き、他球団がこぞって視察に来る素晴らしい球場を作ったのに、サッカーには冷たい。なぜでしょうか。

私にもよくわかりません。作れというから作ろうとしている。どこに作るかの指図を受ける憶えはない、ということのように思えてなりません。

――久保さんは広島出身ですよね。

そうです。だからこそエディオンは市の要請で何度も増資を引き受け、現在は46.9%保有しています。1999年からはサンフレッチェの社長になって経営の立て直しに着手し、以来ずっと育成型のチーム作りをしてきました。この18年間にサンフレッチェに投じた資金は100億円以上です。育った選手が高額の報酬で浦和レッズなどに何度も引き抜かれていく中で、ようやく強いチームになってきた。赤字では育成しながら強いチームを作っていくことは出来ません。

いまや強豪チームとなり、安定した利益を出せるようになった

――2012年に減資と増資を実施して累損を解消したタイミングで森保監督が就任し、チームが強くなって以降、劇的に収益は改善しています。だからこそ新スタジアム建設にも並々ならぬ思いがあると。

私の実家は市民球場跡地の向かいにあって、焼け野原から復興していく広島の中心部で育ちました。市民球場が出来る前は、あの場所でよく遊んだものです。それだけにあの場所への思いはひとしおです。独自計画ではスタジアムから原爆ドームが見える設計にしてあり、国際試合を開催すれば海外から来てくれる人に見てもらえる。サッカーは野球に次ぐ集客力があり、あそこなら地方創世の発信地にもなれる。市民球場跡地への新スタジアム建設実現に向け、不退転の決意で臨んでいるんです。

セ・リーグ6球団でペナントレースを戦うプロ野球は、ホームゲームが年間70試合あり、広島東洋カープは指定管理者として、通年でマツダスタジアムの運営に携わっている。だからこそ市債償還原資を負担することに合理性がある。
一方、JリーグはJ1だけで18チーム。ホームゲーム数は20。だからこそサンフレッチェ側は、作ってもらう以上は指定管理者となり、通年でスタジアムを運営する責任を負うことも視野に入れている。コンサートなど多目的な利用を前提にするなら、好アクセスは絶対条件だ。
だが、行政がサンフレッチェを「年間20日間だけ貸す対象」と位置付けているのなら、両者の溝は埋まりようがない。巨額の税金投入が絡む問題でもあり、いっそのこと完成後の運営方法も含めた両者の詳細な計画案を公表し、住民投票にかけてみたらどうだろうか。

 

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