社外取締役は「官僚」の天下り天国になるのか 在野の人材不足問題をどう解決する?

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この回答をどのようにとらえるべきでしょうか。変化があるという程度ではなく、収益力を高める「本来の役割」を十分に果たしているか、疑問に思えてなりません。

日本経済新聞の取材でソフトバンクグループの孫正義社長は社外取締役について「経営者として」経営の意思決定に真剣に関わる存在。社内の取締役と社外取締役がテーマごとに真剣に議論するものと断言しています。さらに日本の社外取締役は形式だけで社内から上がってきた起案で、まともに反対して潰そうなんていう話はほとんどない…とも指摘しています。

まさに経営者として企業価値向上にどれだけ貢献するか?コーポレートガバナンスを担う立場として期待される役割は高いのです。

官僚だからNGではなく、適正な評価があればいい

そうだとしたときに、先述のような官僚出身者の天下り先になってしまってもいいのでしょうか?専門家の間などでは、官庁とのパイプがそれなりにあり、経営には口を出さない官僚がいたら、社外取締役として引っ張りだこになるとの意見がありますが、それなら大いに反対すべことでしょう。

ただ、官僚としての経験を活かして、すでに社外取締役として活躍している元官僚の方も少なからずいます。そこで、官僚だからダメ、民間企業ならOKなどと断定的に判断をするのではなく、社外取締役としての任期が簡単に長期化しないようにして、活動について適正に評価をする仕組みを導入してはどうでしょうか?

通常の社員と同様に業績と行動面での「期待すべき目標」を定めて、その評価で任用をしていく。そして、その評価によって報酬を定めていくのです。

経営の一員として企業価値の向上に貢献する役割を担っていないと判断したら、任期満了をもって退任させる。社内取締役に耳障りのいい発言はできるが、それでは社外取締役としての役割を十分に担えていない…などときちんとチェックをして、評価していくのです。

そもそも、社外取締役には社内の取締役が嫌がるくらいの人を任用することで、しっかり機能するという面もあります。例えば、オムロンなどの社外取締役などを務めている経営共創基盤・代表取締役の冨山和彦氏。社内のしがらみから離れた判断をすること、企業価値を高めるため、社内取締役と対峙する立場に立ち、ときには機能していない経営トップに退任を求める覚悟が必要、などと発言しています。

企業価値向上への貢献度で社外取締役の役割を設定し、評価をする仕組み、すなわち「人事領域の縛り」がセットになれば、官僚だろうが民間だろうが、社外取締役は期待に応えられる人材の中から選ぶかしかなくなります。日本版コーポレートガバナンスをすすめるため、それらの点を明確にして、しっかり活躍する社外取締役を増やしていきたいものです。ただ、そこまで厳しい縛りがある中で、官僚の方々が社外取締役に本当になりたがるのか。そこには少々?マークが残ります。
 

高城 幸司 株式会社セレブレイン社長

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たかぎ こうじ / Kouji Takagi

1964年10月21日、東京都生まれ。1986年同志社大学文学部卒業後、リクルートに入社。6期トップセールスに輝き、社内で創業以来歴史に残る「伝説のトップセールスマン」と呼ばれる。また、当時の活躍を書いたビジネス書は10万部を超えるベストセラーとなった。1996年には日本初の独立/起業の情報誌『アントレ』を立ち上げ、事業部長、編集長を経験。その後、株式会社セレブレイン社長に就任。その他、講演活動やラジオパーソナリティとして多くのタレント・経営者との接点を広げている。著書に『トップ営業のフレームワーク 売るための行動パターンと仕組み化・習慣化』(東洋経済新報社刊)など。

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